実家じまい行程ガイド
実家(不動産)をどうするか — 売却・賃貸・管理の選択肢と相談先
この記事は一次情報(官公庁・関連団体の公式情報)を確認のうえ作成していますが、専門家による監修は現在準備中です。監修体制については監修者についてのページをご確認ください。
この記事のポイント
- 実家じまいの後、家自体をどうするかには「売却」「賃貸」「維持管理を続ける」「手放す」など複数の選択肢があります
- 売却や賃貸の手続きを進めるには、前提として相続登記(名義変更)が済んでいる必要があります
- 空き家を放置すると、自治体から管理に関する助言・指導等の対象になる場合があります
- 判断に迷う場合は、自治体の空き家相談窓口や不動産の専門家に相談する方法もあります
実家の今後を考える、主な4つの選択肢
家財の片付けが一区切りついた後は、実家という不動産そのものをどうするかも、あわせて検討することになります。主な選択肢を整理すると、次のようになります。
売却する
不動産として売却し、資産を現金化する方法です。まとまった資金を得られる一方、一度売却すると手放すことになるため、将来また住む可能性がある場合は慎重な判断が必要です。仲介を通じて売却する方法のほか、買取業者に直接売却する方法もあり、金額を重視するか、スピードを重視するかによって適した方法が変わります。
賃貸に出す
人に貸して家賃収入を得ながら、所有は続ける方法です。まとまった収入を継続的に得られる可能性がある一方、入居者の募集・管理や修繕対応など、継続的な手間がかかります。管理会社に委託して手間を減らすこともできますが、その分の管理費用が発生し、空室期間の維持費も見込んでおく必要があります。
維持管理を続ける
当面は住まないまま、定期的な管理を続けて所有を維持する方法です。売却・賃貸のどちらもすぐには決めきれない場合の選択肢になります。ただし、「何もしない」状態を続けるのではなく、後述するように最低限の管理を続けることが前提になります。
手放す・活用を見直す
将来的に住む見込みがなく、売却や賃貸も難しい立地の場合、解体して土地として活用する方法や、後述する制度を利用して手放す方法も選択肢に入ります。解体には別途費用がかかるため、土地の資産価値や活用の見込みとあわせて検討することになります。
どれが正しいというものではなく、建物の状態、立地、将来また住む可能性の有無、管理にかけられる手間や費用など、家庭ごとの事情によって適した選択肢は変わります。一つに決めきれない場合は、複数の選択肢について具体的な条件(売却したらいくらか、貸したらいくらかなど)を調べたうえで比較検討する方法もあります。
判断の前提として:相続登記が必要
売却や賃貸など、実家の名義に関わる手続きを進めるには、前提として相続登記(不動産の名義を被相続人から相続人に変更する手続き)が済んでいる必要があります。相続登記は2024年4月から法律上の義務になっており、不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない限り過料の対象になり得ます。詳しくは「実家じまいのスケジュールの立て方」および法務省「相続登記の申請義務化について」をご確認ください。
「まだ実家をどうするか決めていないから、名義変更は後回しでよい」と考えがちですが、方針が決まっていない段階でも、義務化された期限には変わりありません。方針の検討と並行して、名義変更の手続きも進めておくことをおすすめします。
空き家のまま放置するリスク
方針が決まるまでの間、実家を空き家のまま維持するという判断自体は問題ありません。ただし、管理が行き届かない状態が続くと、状況によっては注意が必要です。空家等対策の推進に関する特別措置法では、倒壊のおそれや衛生上の問題など、周辺の生活環境に影響を及ぼしていると自治体が判断した空き家を「特定空家等」等として、助言・指導、勧告といった措置の対象とする仕組みが定められています。詳しくは国土交通省「空き家対策」特設サイトで確認できます。
方針が決まるまでの当面の対応としては、定期的な換気・通水、庭木の手入れ、郵便物の確認などの管理を続けることが、上記のような状態を避けることにつながります。管理を自分たちで続けるのが難しい場合は、空き家管理を代行するサービスや、後述の相談窓口を活用する方法もあります。
手放す選択肢としての「相続土地国庫帰属制度」
建物を解体して更地にした後、土地の管理や活用の見込みが立たない場合、一定の要件を満たせば土地を国庫に帰属させる「相続土地国庫帰属制度」という選択肢もあります。令和5年(2023年)4月27日から始まった制度で、相続や遺贈によって土地を取得した方が申請できます。建物がある土地や、担保権が設定されている土地など、対象外となる条件も定められているため、詳しくは法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」をご確認ください。この制度は土地のみが対象で、建物が残ったままでは利用できない点にも注意が必要です。
選択肢を比較する視点
4つの選択肢のどれが向いているかを考える際は、次のような視点で整理すると判断しやすくなります。
- 今後、また住む可能性があるか: 可能性が残っている場合は、売却よりも賃貸や維持管理の方が選択肢を残せます。
- 管理にかけられる手間・時間があるか: 遠方に住んでいる、頻繁に通えないといった事情がある場合、管理の手間が少ない売却の方が現実的なこともあります。
- まとまった資金が必要かどうか: 売却によって資金を得たい事情がある場合、売却が優先されやすくなります。
- 相続人間で意見が一致しているか: 複数の相続人がいる場合、全員が同じ選択肢に納得できるかどうかも重要な判断材料です。
これらの視点をひとつずつ整理し、必要に応じて不動産の専門家に相談することで、家庭の状況に合った選択肢が見えてきます。すぐに結論を出す必要はなく、複数の選択肢を並行して情報収集しながら決めていく進め方でも問題ありません。
相談先の選び方
実家の今後について相談できる先には、次のようなものがあります。
- 自治体の空き家相談窓口: 空き家対策や、空き家を売りたい・貸したい人と利用したい人をつなぐ「空き家バンク」制度について相談できます。国土交通省の特設サイトから、各自治体の取り組みを確認できます。
- 宅地建物取引業者(不動産会社): 売却・賃貸の具体的な条件や流れ、想定される金額感について相談できます。複数の会社に査定を依頼して比較することもできます。
- 司法書士: 相続登記や名義変更の手続きについて相談できます。
- 弁護士: 相続人間で意見がまとまらない場合の調整について相談できます。
どの相談先が適切かは、今どの段階で迷っているか(方針そのものか、手続きの進め方か)によって変わります。方針自体に迷っている場合はまず不動産会社や自治体の窓口へ、手続きの進め方に迷っている場合は司法書士や弁護士へ、というように整理すると相談先を選びやすくなります。
当サイトでも、売却を検討する方向けのご案内を実家の売却も検討するページで用意しています。提携先の情報は準備中ですが、片付けと並行して実家の今後も検討したい方は、あわせてご確認ください。
よくある質問
売るか貸すか迷っています。どう決めればいいですか?
立地や建物の状態、将来また住む可能性の有無、管理の手間をかけられるかなど、判断材料は家庭によって異なります。どちらか一方に決めきれない場合は、不動産の専門家に相談し、両方の選択肢について具体的な条件を確認してから検討する方法もあります。
空き家のまま放置するとどうなりますか?
空家等対策の推進に関する特別措置法により、周辺の生活環境に影響を及ぼしていると判断された空き家(特定空家等)は、自治体からの助言・指導、勧告等の対象になり得ます。放置すること自体に一律の罰則があるわけではありませんが、管理が行き届かない状態が続くと、対応を求められる可能性があります。
相続人が複数いる場合、実家の扱いはどう決めますか?
不動産が共有名義になっている場合、売却などの処分には共有者全員の関与が必要になるのが原則です。相続人が複数いる場合は、遺産分割の話し合いの中で、実家をどうするか(誰が相続するか、売却して分けるかなど)もあわせて検討することになります。
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