実家を売る・貸す・持ち続ける — 片付けの前に決めておきたいこと
実家じまいは「家財を片付ける作業」と思われがちですが、実際には家そのものをどうするかを決めないと、片付けの進め方も決まりません。 売却するなら残す家財の基準が変わりますし、持ち続けるなら急いで空にする必要はありません。 ここでは、片付けに着手する前に整理しておきたい判断軸をまとめます。
まず「売る・貸す・持ち続ける」のどれかを決める
選択肢は大きく3つで、それぞれ向いている状況が違います。
- 売る — 誰も住む予定がなく、維持費と管理の手間を止めたい場合。後述の税制の特例には期限があるため、 相続した家を売る可能性があるなら早めに検討したほうが選択肢が広く残ります。
- 貸す — 立地に需要があり、当面手放したくない場合。ただし賃貸に出すには修繕や設備の更新が必要になることが多く、 後述の空き家の特例は貸付けに使うと適用できなくなる点に注意が必要です。
- 持ち続ける — 将来住む予定がある、相続人の間で結論が出ていない場合。この場合も、固定資産税や火災保険、 最低限の管理(通風・通水・草木の手入れ)は続くため、誰が何を担当するかを決めておきます。
相続人が複数いるなら、この結論は片付けを始める前に共有しておくのが安全です。 片付けが進んでから方針が変わると、残しておくべきだった物を処分してしまったり、 費用の負担割合でもめたりする原因になります。
相続した実家を売るなら、3,000万円の特別控除に期限がある
相続または遺贈で取得した空き家を売った場合、一定の要件を満たすと譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できる特例があります (被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)。 令和6年1月1日以後の譲渡で、その家屋と敷地を相続または遺贈で取得した相続人の数が3人以上である場合は、 控除額は2,000万円までとなります。
期限と主な要件は次のとおりです。
- 平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売ること
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 家屋が昭和56年5月31日以前に建築されたものであること
- 区分所有建物登記がされている建物でないこと
- 相続の開始の直前において、被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
- 相続時から売却時まで、事業の用・貸付けの用・居住の用に供されていたことがないこと (=いったん人に貸すと使えなくなります)
- 売却代金が1億円以下であること
「3年を経過する日の属する年の12月31日」という区切りがあるため、 相続してから何年も方針を決めずにいると、この特例を使えないまま期限が過ぎることがあります。 片付けと並行して、売却の可能性だけでも早めに検討しておく価値があります。
出典: 国税庁タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm(2026年8月10日確認)。ここに挙げたのは要件の一部です。実際に適用できるかは、 取得の経緯や建物の状況によって変わります。適用の可否と手続きは、必ず税務署または税理士にご確認ください。
片付けと売却、どちらを先に進めるか
売却する方針が固まっている場合でも、先に不動産会社へ相談してから片付けに入るほうが 無駄が出にくくなります。理由は次のとおりです。
- 家財を残したまま売れる場合がある — 買主が解体や大規模リフォームを前提にしているケースでは、残置物の撤去まで含めて 引き受けてもらえることがあります。この場合、先に費用をかけて完全に空にすると無駄になります。
- 解体するかどうかで片付けの範囲が変わる — 建物を解体して土地として売るなら、内装や設備の扱いを気にする必要はありません。 一方、建物を住宅として活かして売るなら、掃除の丁寧さが印象に影響します。
- 売却時期から逆算できる — 上記の特例のように期限のある制度を使うなら、片付けにかけられる期間も決まります。
逆に、方針が決まっていないうちは、貴重品と書類の確保だけを先に進めるのが無難です。 権利証・通帳・保険証券・遺言書などは、後から探すと手間がかかります。
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なお当サイトでは現在、不動産の査定・売却仲介のご紹介は行っていません。 売却をご検討の際は、複数の不動産会社に直接ご相談のうえ比較されることをおすすめします。