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実家じまいコラム

空き家に火災保険は必要?住宅物件と一般物件の違い、相続時に確認すべきこと

この記事は、官公庁・関連団体の公式情報などの一次情報と出典を確認したうえで、実家じまい案内所編集部が作成・更新しています。編集方針については運営ポリシーをご覧ください。

この記事のポイント

  • 火災保険の参考純率を算出する損害保険料率算出機構は、「住宅物件」を住居としてのみ使用する建物、「一般物件」を住宅物件・工場物件・倉庫物件のいずれにも該当しない建物と定義しています(出典: 損害保険料率算出機構「火災保険参考純率」)
  • 日本損害保険協会によると、契約後に建物の構造・用法に変更があった場合は保険会社への通知義務があり、故意または重大な過失によって遅滞なく通知を行わなかった場合には、契約が解除され保険金が支払われない場合があるとされています(出典: 日本損害保険協会 損害保険Q&A 問59)
  • 建物を譲渡する場合、契約者・被保険者は遅滞なく書面で保険会社に通知する必要があり、あらかじめ承認を得ることで契約上の権利義務を譲受人に移転できるとされています(出典: 同 問59・問60)。相続の場合の具体的な取扱いは保険会社によって異なるため、個別の確認が必要です
  • 地震保険の対象は「居住用建物(住居のみに使用される建物および併用住宅)および家財」に限られ、店舗や事務所のみに使用されている建物は対象外とされています(出典: 同 問62)
  • 総務省消防庁の令和6年版消防白書によると、令和5年(2023年)の全国の出火件数38,672件のうち、放火は2,495件(全火災の6.5%)、放火の疑いを含めると4,111件(10.6%)にのぼります(出典: 総務省消防庁 令和6年版消防白書)
古い日本家屋の屋根と外壁(イメージ)

※画像はイメージです(写真素材: Pexels)

実家を相続して空き家として持つことになったとき、「もともとかけていた火災保険はこのままでいいのか」「そもそも空き家でも火災保険に入れるのか」と迷う方は少なくありません。この記事では、住宅物件と一般物件で火災保険の扱いが変わりうる理由、相続が発生したときに保険会社に確認・通知すべきこと、放火・類焼のリスクを、業界団体・公的機関の公表情報にもとづいて整理します。特定の保険会社・商品のおすすめや、保険料の具体的な金額については、この記事では扱いません。実際に加入できるかどうかや条件は保険会社ごとに異なるため、最終的な判断は契約中の保険会社や代理店に確認してください。

空き家でも火災保険は必要か

火災保険は、火災だけでなく落雷・破裂爆発・風災・水災など幅広い損害を補償する保険です(出典: 日本損害保険協会 損害保険Q&A 問51)。人が住んでいない空き家であっても、建物という財産である以上、火災・破損などのリスク自体がなくなるわけではありません。

また、日本損害保険協会の解説では、失火によって隣家に燃え移った(類焼した)場合でも、「失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法)」により、失火者に重大な過失がない限り、隣家は失火者に損害賠償請求ができないとされています。この解説では「自分の家からの出火の場合だけでなく、隣家からの延焼火災に備える意味でも、各自が火災保険を契約しておくことが必要」と説明されています(出典: 同 問52)。つまり、隣で火災が起きても損害賠償で補償を受けられるとは限らないため、自分の建物を守る備えとして火災保険が位置づけられているということです。この考え方は、人が住んでいるかどうかにかかわらず当てはまります。

「住宅物件」と「一般物件」— 空き家で保険の扱いが変わりうる理由

火災保険の参考純率(保険料算出のベースとなる料率)を算出している損害保険料率算出機構は、対象となる建物を用途によっていくつかの区分に分けています。代表的なものが「住宅物件」と「一般物件」です。

  • 住宅物件: 住居としてのみ使用する建物
  • 一般物件: オフィスビルや学校など、住宅物件・工場物件・倉庫物件のいずれにも該当しないもの

(出典: 損害保険料率算出機構「火災保険参考純率」)

火災保険における住宅物件と一般物件の違い。住宅物件は住居としてのみ使用する建物。一般物件は住宅物件・工場物件・倉庫物件のいずれにも該当しない建物。空き家は居住の実態がないため区分の判断が保険会社により異なる

(出典: 損害保険料率算出機構「火災保険参考純率」、日本損害保険協会「損害保険Q&A」問62 をもとに当サイト作成)

「住宅物件」は、文字どおり人が住んでいる(居住の実態がある)建物を指す区分です。空き家は誰も住んでいない状態であるため、この定義にそのまま当てはまるとは限りません。実際に、日本損害保険協会の告知事項に関する解説では、火災保険の契約時に「建物の構造・用法」を保険会社へ告知することが求められており、これは保険料の算出や引受けの可否判断に使われるとされています。また契約後に「建物の構造・用法の変更」があった場合は、遅滞なく保険会社に通知する義務があり、故意または重大な過失によって遅滞なく通知を行わなかった場合には、契約が解除され、保険金が支払われない場合があるともされています(出典: 同 問59)。

地震保険についても、対象になるのは「居住用建物(住居のみに使用される建物および併用住宅)および家財」に限られ、店舗や事務所のみに使用されている建物は対象外とされています(出典: 同 問62)。空き家が「居住用建物」に含まれるかどうかも、契約している保険会社の判断によって変わりうる部分です。

以上のとおり、空き家になったこと自体が「用法の変更」にあたるかどうか、住宅物件・一般物件のどちらとして扱われるか、地震保険を付帯できるかどうかは、いずれも保険会社や個別の契約内容によって判断が異なります。この記事では断定的な結論は出せませんので、実家が空き家になった、あるいはその見込みがある場合は、早めに契約中の保険会社や代理店へ状況を伝え、確認することをおすすめします。

実家を相続したら、火災保険の契約はどうすればいいか

実家を相続すると、それまで被相続人(親など)が契約していた火災保険の扱いも問題になります。日本損害保険協会の解説では、次のような規定が示されています。

  • 建物を譲渡する場合、契約者または被保険者は、遅滞なく、書面によりその旨を保険会社に通知する必要がある
  • 契約者が普通保険約款および特約に関する権利・義務を建物の譲受人に移転させるときは、譲渡前にあらかじめ、書面により保険会社に申し出を行い、承認を得る手続きが必要
  • 保険の対象(建物)が譲渡された場合には、その契約は「失効」となる。失効の場合、未経過期間分の保険料は保険会社が定める計算方法で返還される

(出典: 日本損害保険協会 損害保険Q&A 問59問60)

実家を相続した後の火災保険確認フロー。相続発生後、まず被相続人の火災保険証券を確認し、契約している保険会社へ連絡、告知事項・通知事項を確認したうえで契約を継続・変更・新規契約のいずれにするか判断する

(出典: 日本損害保険協会「損害保険Q&A」問59・問60 をもとに当サイト作成)

ここで示されている「譲渡」は主に売買などを想定した規定であり、相続による所有権の移転がそのまま同じ扱いになるとは限りません。相続の場合に名義変更が必要かどうか、必要な書類、契約を継続できるかどうかは、保険会社・保険商品によって異なります。実務的には、次のような手順で確認を進めることになります。

  1. 被相続人が契約していた火災保険の証券・契約内容を確認する(保険会社名、証券番号、保険期間、補償内容)
  2. 契約している保険会社または代理店に、相続が発生した旨を連絡する
  3. 案内にもとづいて、必要書類(名義変更の届出書など)を準備・提出する
  4. その際に、建物が現在空き家であることも合わせて伝え、契約を継続できるか、条件が変わるかを確認する

相続の手続き全体(相続登記・相続放棄の期限など)については「実家(空き家)を相続したら何をする?」で解説しています。あわせてご確認ください。

空き家の火災リスク — 放火・類焼をめぐるデータ

総務省消防庁の令和6年版消防白書によると、令和5年(2023年)の全国の出火件数は38,672件で、このうち放火のみが2,495件(全火災の6.5%、前年比11.3%増)、放火の疑いを含めると4,111件(全火災の10.6%、前年比10.8%増)となっており、いずれも前年より増加しています(出典: 総務省消防庁「令和6年版 消防白書」4. 出火原因)。この統計は空き家に限定したものではなく、全国の建物・車両などすべての火災を対象にした数字です。

一方、国土交通省の空き家対策特設サイトでは、空き家を放置すると老朽化・破損が進みやすく、倒壊の危険性や、外装材・屋根材の落下、不法侵入による治安の悪化、景観の悪化といったリスクが生じるとされています(出典: 国土交通省「住宅:空き家対策」特設サイト)。空き家は日常的に人の出入りがないため、こうしたリスクへの気づきが遅れやすい面があります。

前述のとおり、隣家からの類焼(もらい火)については、失火者に重大な過失がない限り損害賠償請求ができないとされているため(日本損害保険協会 問52)、空き家からの出火で近隣に被害が及んでも、あるいは逆に近隣の火災が空き家に燃え移っても、損害賠償で確実に補償を受けられるとは限りません。だからこそ、空き家であっても火災保険で自分の建物を直接備えておくことが選択肢として重要になります。

火災保険に入れない・切れたままにした場合のリスク

もし空き家が火災保険に加入できない、あるいは何らかの理由で契約が失効・解除された状態のまま火災が発生した場合、建物の修繕や再建にかかる費用を保険金でまかなうことができず、自己負担になる可能性があります。

さらに、管理が行き届かない空き家は、国土交通省の資料が示すとおり老朽化・破損が進みやすく、放置が続くと「実家を空き家のまま放置すると固定資産税はどうなる?」で解説しているとおり、固定資産税の軽減特例を受けられなくなる可能性も出てきます。火災保険の見直しは、空き家管理全体の一部として、早めに着手しておきたいポイントの一つです。

当サイトでできること

当サイトには、火災保険の相談窓口や保険会社を紹介する専用のサービスはありません。火災保険に関する具体的な相談は、契約中の保険会社・代理店、または保険相談の専門窓口にご確認ください。

一方で、実家が空き家になったあとの片付け・清掃・管理については、地域の事業者への相談が選択肢になります。片付けが済んでいない実家をお持ちの場合や、空き家の今後の管理方針とあわせて検討したい場合は、「地域から相談先を探す」からお近くの相談先をご確認いただけます。空き家管理そのものについては「空き家管理とは?何をすればいい?」もあわせてご覧ください。

まとめ

空き家であっても、火災・類焼のリスクがなくなるわけではなく、火災保険は引き続き検討すべきものです。ただし、損害保険料率算出機構が定める「住宅物件」は住居としてのみ使用する建物を指し、空き家がこの区分に当てはまるかどうかは保険会社の判断によって異なります。また実家を相続した場合、被相続人が契約していた火災保険をそのまま継続できるとは限らないため、早めに契約中の保険会社へ相続の発生と建物が空き家である旨を伝え、必要な手続きを確認することが重要です。加入できるかどうか・条件がどう変わるかは保険会社によって異なるため、この記事の内容を参考にしつつ、最終的な判断は必ず契約中の保険会社や代理店にご相談ください。

よくある質問

空き家でも火災保険には入れますか?

空き家であることを理由に一律で加入できなくなるわけではありませんが、日本損害保険協会の解説によると、火災保険の契約時には建物の構造・用法などを保険会社に告知する必要があり、これらは保険料の算出や引受けの可否判断に使われるとされています。空き家(居住の実態がない状態)がどう扱われるか、加入できる商品があるかは保険会社によって条件が異なるため、契約中の保険会社や代理店に確認することが必要です。

空き家は火災保険で「住宅物件」として扱われますか?

損害保険料率算出機構は、火災保険の参考純率を算出する区分として「住宅物件(住居としてのみ使用する建物)」と「一般物件(住宅物件・工場物件・倉庫物件のいずれにも該当しないもの)」を定義しています。空き家は人が住んでいない状態のため、この区分上どちらとして扱われるかは保険会社の商品や個別の判断によって異なります。契約や更新の際に、自分の建物がどちらの区分で契約されているかを確認しておくことをおすすめします。

実家を相続したら、火災保険はどうすればいいですか?

日本損害保険協会の解説によると、建物を譲渡する場合、契約者・被保険者は遅滞なく書面で保険会社に通知する必要があり、あらかじめ承認を得ることで契約上の権利義務を譲受人に移転できるとされています。相続は売買などによる譲渡とは性質が異なるため、名義変更の要否や必要書類、契約を継続できるかどうかは保険会社・保険商品によって異なります。まずは被相続人が契約していた火災保険の証券を確認し、契約している保険会社または代理店に相続が発生した旨を連絡し、案内に従って手続きを進めることが基本になります。

火災保険に入らないまま空き家を放置するとどうなりますか?

火災保険に加入していない、あるいは契約が失効・解除された状態で火災が発生すると、建物の再建や修繕にかかる費用を保険金でまかなえず、自己負担になる可能性があります。総務省消防庁の統計では、放火の疑いを含めた放火関連の出火は全火災の10.6%(令和5年)にのぼり、空き家は日常的に人の出入りがないぶん、被害の発見が遅れる可能性も考えられます。また国土交通省の空き家対策特設サイトでは、空き家を放置すると老朽化・破損・倒壊のリスクや、固定資産税の軽減特例を受けられなくなる可能性があることも示されています。

空き家の地震保険はどうなりますか?

日本損害保険協会の解説によると、地震保険の対象になるのは「居住用建物(住居のみに使用される建物および併用住宅)および家財」に限られ、店舗や事務所のみに使用されている建物は対象外とされています。地震保険は単独では契約できず、火災保険に付帯して契約する仕組みのため、空き家の火災保険がどの区分で契約されているかによって地震保険を付帯できるかどうかも変わってきます。詳しくは契約中の保険会社に確認してください。

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