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実家じまいコラム

親が実家を片付けられないのはなぜ? 背景にある事情と、家族が使える相談先

この記事は、官公庁・関連団体の公式情報などの一次情報と出典を確認したうえで、実家じまい案内所編集部が作成・更新しています。編集方針については運営ポリシーをご覧ください。

この記事のポイント

  • 環境省の全国調査(令和4年度・1,741市区町村・回答率100%)では、直近5年度で「ごみ屋敷」事案を認知した市区町村は661(38.0%)で、把握のきっかけの13.9%(92市区町村)が「原因者の親族等からの相談」でした
  • 同調査では、事案を認知した市区町村の41.3%(273市区町村)が「関係部署と連携した包括的サポート」を行っており、行政の関わり方は撤去や指導だけではありません
  • 敷地内のごみを撤去したと回答した114市区町村のうち112市区町村(98.2%)は、原因者等の同意を得たうえで撤去しています(同調査)
  • 高齢の親の暮らし全般の相談窓口である地域包括支援センターは、全国5,487か所(支所を含めると7,374か所)に設置されています(厚生労働省・令和7年4月末現在)
  • 片付けの物量が多く自力では難しい場合は、一般廃棄物収集運搬業の許可を確認したうえで事業者に見積もりを取る方法もあります
日本家屋の和室(イメージ)

※画像はイメージです(写真素材: Pexels)

帰省するたびに実家の物が増えている。何度言っても片付かない。以前はきれい好きだったはずの親が、いつからか物を捨てられなくなっている——。こうした変化に戸惑い、責める気持ちと心配する気持ちのあいだで迷う方は少なくありません。この記事では、片付けが難しくなる背景と、家族が使える相談先を、公的な調査資料にもとづいて整理します。

「片付けられない」は、本人の意欲だけの問題ではない

住まいに物がたまっていく状態は、単に「だらしないから」で説明できるものではありません。環境省が全国1,741市区町村を対象に実施した調査(回答率100%・調査時点は令和4年9月末)では、市区町村が事案の改善につながった理由として「原因者への助言・指導等」だけでなく、「関係部署・関係機関の連携による包括的支援」「地縁団体や原因者の親族による清掃」などが挙げられています(出典: 環境省環境再生・資源循環局廃棄物適正処理推進課「令和4年度『ごみ屋敷』に関する調査報告書」、令和5年3月公表)。指導だけでなく、支援や周囲の手助けが改善の要因として並んでいることが、この問題の性質を表しています。

同じ調査の自由回答には、市区町村が抱える課題として「罰則規定を盛り込み適用したとしても、原因者が抱える根本的原因の解決にはつながらない」「いわゆる『ごみ屋敷』状態になる案件は、福祉的なサービスを必要とする場合が多い」といった趣旨の記述も含まれています。現場に立ち会っている自治体の側が、取り締まりだけでは解決しないという認識を示している点は、家族が状況を理解するうえでも参考になります。

なお、医学的な状態の判断は医師など専門家が行うものです。この記事では特定の病名を当てはめることはせず、家族が取れる行動と相談先の整理に絞ります。

相談は、実際に家族から寄せられている

「家族が自治体に相談してよいものか」と迷う方は多いのですが、前掲の環境省調査では、市区町村が事案を把握したきっかけとして「原因者の親族等からの相談」が13.9%(92市区町村)を占めています。

自治体がごみ屋敷事案を把握したきっかけ(複数回答)。市民からの通報586市区町村88.7%、パトロールによる把握153市区町村23.1%、原因者の親族等からの相談92市区町村13.9%、原因者からの相談63市区町村9.5%

(出典: 環境省「令和4年度『ごみ屋敷』に関する調査報告書」図2。事案を認知している661市区町村を100%とした複数回答)

同調査の「その他」の回答には、「福祉部署からの相談」「空家対策担当部署からの情報提供」「警察、消防等関係機関からの情報提供」「民生委員からの相談」「地域包括支援センターやケアマネジャーからの相談」といったものが挙げられています。近隣からの通報を待つのではなく、家族や支援者の側から先に相談が入る経路が、実際に機能していることが分かります。

高齢の親が一人で暮らしている家庭は珍しくない

内閣府の令和7年版高齢社会白書によると、65歳以上の者のいる世帯は令和5年現在で2,695万1千世帯となり、全世帯(5,445万2千世帯)の49.5%を占めています。また、65歳以上の一人暮らしの者が同年代人口に占める割合は、昭和55年の男性4.3%・女性11.2%から、令和2年には男性15.0%・女性22.1%に増えています(出典: 内閣府「令和7年版高齢社会白書(全体版) 3 家族と世帯」)。

日常的に人の目が入らない住まいでは、少しずつ進む変化に気づくのが遅れがちです。年に数回の帰省で「前より物が増えた」と感じたときには、すでに本人が一人では手をつけられない量になっていることもあります。責めるより先に、いま何が難しくなっているのかを確認するほうが、その後の話が進みやすくなります。

相談先は1つではない — 役割の違いを知っておく

家族だけで抱え込まないために、性質の違う相談先を知っておくと動きやすくなります。

親の家の片付けに困ったときの相談先の役割の違い。地域包括支援センター、自治体の廃棄物・福祉部局、片付けの事業者の3つ

地域包括支援センターは、高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防に必要な援助などを行う機関で、地域包括ケア実現に向けた中核的な機関と位置づけられています。厚生労働省によると、令和7年4月末現在で全国5,487か所(支所を含めると7,374か所)に設置されています(出典: 厚生労働省「地域包括ケアシステム」)。片付けそのものを代行する機関ではありませんが、生活全体の困りごとの入口として相談できます。

自治体の窓口は、ごみの出し方や収集の相談先です。前掲の環境省調査では、専用の条例等を制定している市区町村は101(5.8%)にとどまる一方、そのうち25市区町村は条例等の措置として「支援」を規定していると回答しています。制度の有無や内容は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。

片付けの事業者は、物量が多く家族だけでは運び出せない場合の依頼先です。家庭から出た廃棄物の収集運搬には市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可(または委託)が必要とされているため、依頼前に許可の有無を確認してください。確認の仕方は「遺品整理業者の許可・資格まとめ」で解説しています。

「相談したら勝手に片付けられる」わけではない

自治体への相談をためらう理由として、「行政が入ると強制的に撤去されるのではないか」という不安を挙げる方がいます。前掲の環境省調査では、敷地内のごみを撤去したと回答した114市区町村のうち、112市区町村(98.2%)が原因者等の同意を得たうえで撤去していると回答しています。また、事案を認知している市区町村が行っている対応としては「現地確認」が83.4%(551市区町村)、「原因者に対する直接指導」が73.7%(487市区町村)、「関係部署と連携した包括的サポート」が41.3%(273市区町村)となっています。

個別の対応は自治体ごとに異なりますので、実際の進め方は窓口で確認してください。少なくとも全国的な傾向としては、本人の同意を得ながら進める運用が中心であることが調査から読み取れます。

家族ができる最初の一歩

  • 「捨てる話」から入らない: 安全面(転倒しやすい動線、火の周り、避難経路)を入り口にすると、本人も受け止めやすくなることがあります。話し方の工夫は「実家の片付けを親と話し合うコツ」にまとめています
  • 範囲を小さく区切る: 家全体ではなく「廊下だけ」「玄関まわりだけ」のように、1回で終わる大きさに区切ると着手しやすくなります
  • 判断は本人に残す: 家族が代わりに捨てると、その後の協力が得られにくくなります。分別や運び出しを引き受け、残すか手放すかの判断は本人に委ねる形が現実的です
  • 一人で背負わない: きょうだいや配偶者、地域包括支援センターなど、状況を共有できる相手を先に作っておくと、長期戦になっても続けられます

物量が多く、自力では難しいとき

すでに床が見えない、においが出ている、屋外にまで物が出ているといった状態では、家族だけで進めるのは安全面でも現実的ではありません。作業の手順と判断基準は「ゴミ屋敷の片付けはどこから始める?」、事業者に依頼する場合の費用の考え方は「ゴミ屋敷の片付け費用はいくら?」で解説しています。サービスの全体像と地域の相談先は「ゴミ屋敷片付け」からご覧いただけます。

どのサービスに当てはまるか迷う場合は「かんたん診断」で状況と間取りを選ぶと、目安の費用と行き先を確認できます。費用の全体像は「実家じまいの費用相場」、地域の相談先は「地域から相談先を探す」をご覧ください。

まとめ

親が実家を片付けられない背景には、体力や判断の負担、暮らしの変化、周囲との関わりの薄さなど、本人の意欲だけでは説明できない事情が重なっていることがあります。全国調査でも、行政が関わった事案の改善理由には指導だけでなく関係機関の連携による支援が並び、把握のきっかけの13.9%は家族からの相談でした。家族が動くときは、「片付けさせる」ではなく「困りごとを一緒に整理する」という入り方のほうが、結果的に前に進みやすくなります。物量が多い段階に入っている場合は、許可を確認したうえで事業者への相談も選択肢に入れてください。

よくある質問

親が「片付けたくない」と言って進みません。どうすればいいですか?

実家も持ち物も基本的には本人のものなので、説得して従わせるという進め方は行き詰まりやすい面があります。まずは本人が何に困っているか(体力面か、判断が負担なのか、捨てること自体に抵抗があるのか)を聞き取るところから始める方法があります。話し方の工夫は「実家の片付けを親と話し合うコツ」で解説しています。

家族から自治体に相談してもいいのでしょうか?

環境省の全国調査では、市区町村が「ごみ屋敷」事案を把握したきっかけのうち13.9%(92市区町村)が「原因者の親族等からの相談」でした。そのほか「福祉部署からの相談」「民生委員からの相談」「地域包括支援センターやケアマネジャーからの相談」も回答として挙がっており、家族からの相談は実際に受け付けられている経路の一つです。

自治体に相談すると、勝手に片付けられてしまいませんか?

同じ調査では、敷地内のごみを撤去したと回答した114市区町村のうち112市区町村(98.2%)が、原因者等の同意を得たうえで撤去していると回答しています。また、事案を認知した市区町村の41.3%が関係部署と連携した包括的なサポートを行っていると回答しており、支援を組み合わせる関わり方が広く行われています。個別の対応は自治体によって異なるため、実際の進め方は窓口でご確認ください。

地域包括支援センターはどこにありますか?

厚生労働省によると、令和7年4月末現在で全国5,487か所(支所を含めると7,374か所)に設置されています。高齢者の総合相談、権利擁護、地域の支援体制づくり、介護予防の援助などを行う機関で、お住まいの市区町村の担当課で最寄りのセンターを確認できます。

物が多すぎて家族だけでは運び出せません。

片付けを事業者に依頼する方法があります。家庭から出た廃棄物の収集運搬には市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可(または委託)が必要とされているため、依頼前に許可の有無を確認してください。費用の目安は「費用相場」のページ、地域の相談先は「地域から相談先を探す」からご覧いただけます。

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