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実家じまいコラム

エンディングノートは無料で手に入る?自治体の配布例と、遺言書との違い

この記事は、官公庁・関連団体の公式情報などの一次情報と出典を確認したうえで、実家じまい案内所編集部が作成・更新しています。編集方針については運営ポリシーをご覧ください。

この記事のポイント

  • エンディングノートは、静岡市や福岡市のように自治体が作成し、窓口配布とあわせて無料でダウンロードできるようにしている例があります
  • エンディングノートは様式が自由で書き直しもできますが、財産の分け方について法的な効力を持たせたい場合は、民法が定める遺言の方式による必要があります
  • 自筆証書遺言は、遺言者がその全文・日付・氏名を自書し、これに印を押さなければならないとされています(民法第968条第1項)
  • 法務局の自筆証書遺言書保管制度の手数料は、遺言書の保管の申請が1件につき3,900円です(法務省)
  • 生前整理では「モノ」だけでなく「情報」「財産」の整理も必要で、エンディングノートは情報の整理を進めるための道具として使えます
開いた無地のノートとペン(イメージ)

※画像はイメージです(写真素材: Pexels)

生前整理を始めようとして最初に名前が挙がるのが「エンディングノート」です。書店には有料のものが並んでいますが、まず試してみたいだけなら、無料で手に入る選択肢があります。この記事では、無料で入手する方法と、遺言書との役割の違いを整理します。

自治体が無料で配布している例がある

エンディングノートは、市区町村が高齢者向けの取り組みの一環として作成し、無料で配布している例があります。

静岡市は「エンディングノート〜これからの人生を豊かにしていくために〜」を公開しており、Word形式(全ページ)とPDF形式(全ページおよび分割版)でダウンロードできるようにしています。窓口では、地域包括ケア推進課、地域包括支援センター、各区高齢介護課で配布されています(出典: 静岡市「エンディングノート〜これからの人生を豊かにしていくために〜」)。

福岡市は「マイエンディングノート」を作成し、市役所1階の情報プラザ、各区役所の情報コーナー、各区地域保健福祉課などで配布するとともに、ページからダウンロードできるようにしています(出典: 福岡市「マイエンディングノートを配布しています」)。

いずれも、市民が人生の最期まで自分らしく暮らすための取り組みとして位置づけられています。冊子の配布は在住の方に限られる場合がありますが、ダウンロードは誰でも利用できるようにしていることが多く、書き方の参考として他の自治体版に目を通すこともできます。お住まいの市区町村でも同様の取り組みがないか、高齢福祉の担当課や地域包括支援センターで確認してみてください。地域包括支援センターは、厚生労働省によると令和7年4月末現在で全国5,487か所(支所を含めると7,374か所)に設置されています(出典: 厚生労働省「地域包括ケアシステム」)。

エンディングノートと遺言書は役割が違う

無料で始められる一方で、必ず押さえておきたいのが「できること・できないこと」の線引きです。

エンディングノートと遺言書の違い。エンディングノートは様式が自由で医療・介護の希望や連絡先を残せるが財産の分け方に法的な効力はない。自筆証書遺言は全文・日付・氏名の自書と押印が必要で民法第968条第1項に定めがある

エンディングノートは様式が決まっておらず、いつでも書き直せます。医療・介護についての希望、緊急時の連絡先、加入している保険や口座の情報、大切な品物の置き場所など、家族が困りやすいことを自由に残せるのが利点です。

一方、財産の分け方に法的な効力を持たせたい場合は、民法が定める遺言の方式による必要があります。自筆証書遺言について、民法第968条第1項は「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」と定めています。同条第2項では、相続財産の全部または一部の目録を添付する場合、その目録については自書を要しないとされていますが、目録の毎葉に署名し、印を押さなければならないとされています(出典: 民法(e-Gov法令検索))。

つまり、エンディングノートは「伝えるための道具」、遺言書は「決めるための書面」です。両方を使い分けるのが現実的で、ノートに気持ちや経緯を書き、法的に決めたい部分は遺言書にする、という組み合わせが分かりやすいでしょう。

法務局に自筆証書遺言を預ける制度と手数料

自筆証書遺言は自宅で保管すると紛失や改ざんの心配があるため、法務局が遺言書を保管する制度が設けられています。手数料は次のとおりです。

自筆証書遺言書保管制度の手数料。遺言書の保管の申請は1件3,900円、遺言書の閲覧(モニター)は1回1,400円、遺言書の閲覧(原本)は1回1,700円、遺言書情報証明書の交付は1通1,400円、遺言書保管事実証明書の交付は1通800円

(出典: 法務省「自筆証書遺言書保管制度 手数料」)

このほか、申請書等・撤回書等の閲覧の請求が1件につき1,700円とされています。保管の申請の撤回や変更の届出に手数料はかからないとされています。手数料は収入印紙で納付し、遺言書保管所で購入できるとされています。

「エンディングノートは無料で始められるが、法的に決めたい部分にはこれくらいの費用がかかる」という全体像を先に知っておくと、どこまで自分でやるかの判断がしやすくなります。

生前整理の「情報の整理」としてのエンディングノート

生前整理は、モノの整理だけではなく、情報の整理・財産の整理という3つの領域に分かれます(詳しくは「生前整理のやり方」で解説しています)。エンディングノートは、このうち情報の整理を進めるための道具として位置づけると使いやすくなります。

書き始めるときのコツは、埋めやすいところから手をつけることです。

  • 連絡先 — 親族、友人、かかりつけ医、ケアマネジャー、菩提寺など
  • 置き場所 — 通帳・印鑑・保険証券・年金手帳・権利証・鍵の保管場所(番号そのものは書かない)
  • 契約しているもの — 保険、公共料金、サブスクリプション、携帯電話、インターネット
  • 希望 — 医療・介護についての考え方、葬儀やお墓についての希望
  • デジタル — スマートフォンやパソコンの中に何があるか、家族に見てほしくないものの扱い

暗証番号やパスワードそのものを書き込むと、紛失時のリスクが大きくなります。「どこに何があるか」までにとどめ、番号は別で管理する形が安全です。

家族の側から見ると、何が助かるか

実家の片付けで最も時間がかかるのは、多くの場合「探すこと」です。通帳や権利証がどこにあるか分からないまま家財を動かすと、作業は何倍にも膨らみます。エンディングノートに置き場所が書いてあるだけで、片付けの初動はまったく変わります。

相続後の手続きには期限のあるものもあります(相続の承認・放棄は3か月、相続登記は3年など)。全体像は「実家じまいのスケジュールの立て方」にまとめています。実家の片付けをどこから始めるかは「実家の片付けはどこから手をつける?」を、費用の目安は「費用相場」を、地域の相談先は「地域から相談先を探す」をご覧ください。

親にエンディングノートを勧めたいけれど切り出しにくい、という場合は「実家の片付けを親と話し合うコツ」もあわせてご覧ください。

まとめ

エンディングノートは、静岡市や福岡市のように自治体が無料で配布・ダウンロード提供している例があり、費用をかけずに始められます。ただし、財産の分け方に法的な効力を持たせたい場合は、民法第968条が定める方式による遺言書が必要です。法務局の保管制度を使う場合の手数料は保管の申請1件につき3,900円です。まずは無料のノートで「どこに何があるか」を残し、法的に決めておきたい部分は専門家に相談しながら遺言書として整える——この順番が、費用も手間も無理のない進め方といえます。

よくある質問

エンディングノートは無料で手に入りますか?

自治体が作成して無料で配布している例があります。たとえば静岡市は「エンディングノート〜これからの人生を豊かにしていくために〜」をWord形式・PDF形式でダウンロードできるようにし、地域包括ケア推進課・地域包括支援センター・各区高齢介護課の窓口でも配布しています。福岡市も「マイエンディングノート」を作成し、市役所の情報プラザや各区役所の情報コーナー等で配布するとともに、ページからダウンロードできるようにしています。

エンディングノートに書けば遺言の代わりになりますか?

財産の分け方について法的な効力を持たせたい場合は、民法が定める遺言の方式による必要があります。自筆証書遺言であれば、遺言者がその全文・日付・氏名を自書し、これに印を押さなければならないとされています(民法第968条第1項)。エンディングノートは様式が自由なぶん、遺言としての要件を満たすものではありません。

自筆証書遺言を法務局に預けるといくらかかりますか?

法務省によると、自筆証書遺言書保管制度の手数料は、遺言書の保管の申請が1件につき3,900円、遺言書の閲覧(モニター)が1回につき1,400円、遺言書の閲覧(原本)が1回につき1,700円、遺言書情報証明書の交付が1通につき1,400円、遺言書保管事実証明書の交付が1通につき800円です。保管の申請の撤回や変更の届出に手数料はかからないとされています。

エンディングノートには何を書けばいいですか?

自治体版のノートでは、緊急時の連絡先、医療・介護についての希望、加入している保険や口座などの情報、大切な品物の置き場所といった項目が用意されていることが多くあります。全部を一度に埋める必要はなく、家族が困りやすいところ(連絡先・置き場所)から書き始める方法があります。

親にエンディングノートを勧めたいのですが、切り出しにくいです。

「もしものとき」から入ると身構えられやすいため、入院や災害など「連絡が取れないとき困ること」を入り口にする方法があります。親との話の進め方は「実家の片付けを親と話し合うコツ」にまとめています。

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