実家じまいコラム
空き家の解体はどう進める?費用の内訳と自治体の補助金、注意点を解説
この記事は、官公庁・関連団体の公式情報などの一次情報と出典を確認したうえで、実家じまい案内所編集部が作成・更新しています。編集方針については運営ポリシーをご覧ください。
この記事のポイント
- 空き家の解体費用は、建物の構造(木造・鉄骨・RC等)・延床面積・立地条件(重機の搬入可否)・アスベスト調査の要否などによって大きく異なり、一律の金額を示すことは難しい分野です
- 解体して更地にすると、固定資産税の住宅用地特例(1/6・1/3の軽減)が適用されなくなり、土地の固定資産税額が増える可能性がある点に注意が必要です
- 多くの自治体が老朽危険空き家の解体に補助金制度を設けており、例えば浜松市は解体費用の1/3(上限50万円)、宇都宮市は2/3(上限70万円)を補助しています(2026年度の制度、出典: 両市公式サイト)
- 補助金は着工前の事前申請・事前調査が前提となっている自治体が多く、解体を始めてからでは申請できないケースが一般的です
- 解体以外にも、片付けて管理を続ける、空き家バンクに登録する、賃貸に出すといった選択肢があり、早めに比較検討することが将来の負担を抑える手がかりになります
※画像はイメージです(写真素材: Pexels)
実家が空き家になった後、片付けが一区切りついたタイミングで「建物を解体するかどうか」を検討し始める方は少なくありません。老朽化が進んで管理の負担が大きい場合や、更地にして活用・売却しやすくしたい場合など、解体を考えるきっかけはさまざまです。
この記事では、空き家の解体費用の内訳の考え方、自治体の解体補助金の実例、申請時の注意点、そして解体以外の選択肢について整理します。
空き家の解体費用はどう決まる? 一律の金額を示せない理由
空き家の解体費用は、一般的に次のような費用の組み合わせで構成されます。
- 仮設工事費: 足場の設置、養生シートなど、安全に工事を進めるための準備にかかる費用
- 本体の解体工事費: 建物そのものを取り壊す作業にかかる費用
- 廃棄物の処分費: 解体で出たコンクリートがら・木くずなどを処分・再資源化する費用
- 付帯工事費: 塀・庭木・物置など、建物本体以外の撤去にかかる費用
- 重機回送費など: 重機の運搬や、狭小地でやむを得ず手作業が増える場合の追加費用
これらの費用は、建物の構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)、延床面積、前面道路の幅や重機の搬入可否といった立地条件、そしてアスベスト(石綿)を含む建材が使われているかどうかの調査結果によって、業者・自治体ごとに大きく異なります。当サイトでは信頼できる集計データを持たないため、具体的な金額の目安は掲載していません。解体を検討する場合は、複数の解体業者に現地を見てもらい、内訳が明示された相見積もりを取ることをおすすめします。
解体すると固定資産税はどう変わる?
見落としがちなポイントとして、建物を解体して更地にすると、固定資産税の「住宅用地特例」(小規模住宅用地は課税標準1/6、一般住宅用地は1/3に軽減される制度)の対象外になり、土地にかかる固定資産税額が増える可能性があります。これは、特定空家等・管理不全空家等として勧告を受けていなくても、更地であれば適用されない仕組みです。特例の詳しい仕組みと、放置した場合との比較は「実家を空き家のまま放置すると固定資産税はどうなる?」で解説しています。解体を決める前に、更地後の税負担がどう変わるか、自治体の資産税担当課に確認しておくと安心です。
自治体の解体補助金制度 — 実例で見る
老朽化して倒壊のおそれがある空き家については、多くの自治体が解体費用の一部を補助する制度を設けています。名称は「老朽危険空き家除却補助金」「空家等除却促進事業費補助金」など自治体によって異なりますが、いずれも解体を促進する目的は共通しています。2026年度時点で実施されている制度の一部を例として紹介します。
| 自治体 | 制度名 | 補助率・上限額 | 主な対象条件 |
|---|---|---|---|
| 浜松市 | 空家等除却促進事業費補助金 | 解体費用の1/3・上限50万円 | 昭和56年5月31日以前に建築、取引(売却)不可能と判断される物件など |
| 宇都宮市 | 老朽危険空き家除却費補助金 | 除却費用と延床面積×11,000円/㎡のいずれか低い額の2/3・上限70万円 | 昭和56年5月31日以前に建築、または接道条件を満たさない敷地など |
(出典: 浜松市「浜松市空き家解体補助金」、宇都宮市「老朽危険空き家除却費補助金」、いずれも2026年度・確認日2026-08-04)
この2市の例からも分かるとおり、補助率・上限額・対象となる建築年数などの条件は自治体によって大きく異なります。また制度の内容は年度によって見直されることがあるため、ここで紹介した内容がそのまま自分の自治体に当てはまるとは限りません。お住まいの自治体に同様の制度があるかどうかは、自治体の空き家対策窓口のホームページで確認してください。
補助金申請の注意点
自治体の解体補助金を利用する場合、次の点に注意しておくと手続きがスムーズになります。
- 着工前の事前申請が原則: 多くの自治体では、解体工事を始める前に事前相談・現地調査の申請を行うことが条件になっています。工事を始めてから、あるいは工事完了後に申請しても対象外になるケースが一般的です
- 年度ごとの予算に上限がある: 補助金には自治体ごとに年間の予算枠が設けられており、申請が集中すると受付期間内でも早期に締め切られる場合があります
- 対象となる建築年数・状態の条件がある: 「昭和56年5月31日以前に建築」といった条件や、老朽度の現地調査で一定の基準を満たすことが求められる場合があります
- 申請者の条件も確認する: 所有者本人であること、税金を滞納していないこと、共有名義の場合は共有者全員の同意が必要であることなど、自治体ごとに細かな条件が定められています
解体を検討し始めた段階で、早めに自治体の空き家対策窓口に相談することをおすすめします。
解体前に確認しておきたいこと
解体工事そのものを依頼する前に、次のような点も確認しておくと安心です。
- アスベスト(石綿)調査: 建築時期によっては、アスベストを含む建材が使われている可能性があり、解体前の事前調査が必要になる場合があります。調査・除去が必要な場合、追加の費用や工期がかかることがあります
- 一定規模以上の工事は事前届出が必要な場合がある: 建物の規模によっては、解体で発生する廃材の分別・再資源化に関する法律にもとづき、工事前に自治体への届出が必要になる場合があります。対象となるかどうかは解体業者に確認しましょう
- 近隣への配慮: 解体工事は騒音・振動・粉じんを伴うため、着工前に近隣へ挨拶をしておくと、トラブルを避けやすくなります
- 片付けは解体前に済ませておく: 家財が残ったままでは解体できないため、電気・水道を止めるタイミングも含めた片付けの段取りを先に済ませておく必要があります。具体的な進め方は「空き家になった実家の片付け方」で解説しています
解体以外の選択肢も比較する
解体は選択肢の一つであり、必ずしも唯一の答えではありません。建物を残したまま片付け・管理を続ける方法、人に貸して家賃収入を得る方法、そして所有者と利用希望者をつなぐ「全国版空き家・空き地バンク」に登録して売却や賃貸の相手を探す方法もあります(出典: 国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」)。解体には費用がかかる一方、更地にすることで活用や売却がしやすくなる面もあるため、それぞれの選択肢を比較したうえで判断することをおすすめします。選択肢ごとの比較や相談先は「実家(不動産)をどうするか」で詳しく解説しています。
まとめ
空き家の解体費用は、建物の構造・延床面積・立地条件・アスベスト調査の要否などによって大きく異なるため、一律の金額を示すことは難しい分野です。解体すると固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなる点にも注意が必要です。一方で、浜松市(1/3・上限50万円)や宇都宮市(2/3・上限70万円)のように、多くの自治体が解体費用の一部を補助する制度を設けています。補助金は着工前の事前申請が前提となることが多いため、解体を検討し始めた段階で自治体の窓口に相談することをおすすめします。解体以外の選択肢とあわせて比較したい場合は「実家(不動産)をどうするか」、地域の相談先は「事業者を探す」もご確認ください。
よくある質問
空き家の解体費用の相場はいくらですか?
建物の構造・延床面積・立地条件(重機やトラックの搬入可否)・アスベスト調査の要否などによって、業者・自治体により大きく異なります。当サイトでは信頼できる集計データを持たないため、具体的な金額の目安は掲載していません。複数の解体業者に現地を見てもらい、内訳(本体工事・廃棄物処理費・付帯工事費など)が明示された相見積もりを取ることをおすすめします。
解体するとどんなメリット・デメリットがありますか?
メリットは、特定空家等・管理不全空家等に該当するリスクを避けやすくなること、更地にすることで売却や活用の選択肢が広がることです。デメリットは、まとまった解体費用がかかることに加え、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、土地にかかる固定資産税額が増える可能性がある点です。詳しくは「実家を空き家のまま放置すると固定資産税はどうなる?」で解説しています。
解体の補助金にはどんなものがありますか?
多くの自治体が「老朽危険空き家除却補助金」等の名称で、倒壊のおそれがある老朽空き家の解体費用の一部を補助する制度を設けています。補助率・上限額は自治体ごとに異なり、解体費用の1/5〜2/3程度、上限は数十万円台に設定されているケースが多く見られます。お住まいの自治体に同様の制度があるかどうかは、自治体の空き家対策窓口のホームページで確認できます。
補助金を申請するときの注意点はありますか?
多くの自治体では、解体工事に着手する前に事前相談・事前調査の申請を行うことが条件になっており、工事を始めてから申請しても対象外になるケースが一般的です。また、年度ごとの予算に上限があり、申請が集中すると受付が早期に締め切られる場合もあります。解体を検討し始めた段階で、早めに自治体の窓口に相談することをおすすめします。
解体以外の選択肢はありますか?
建物を残したまま片付け・管理を続ける、賃貸に出す、全国版空き家・空き地バンクに登録して売却・賃貸の相手を探すといった選択肢もあります。どの選択肢が適しているかは、建物の状態や将来また住む可能性の有無によって変わります。「実家(不動産)をどうするか」で選択肢の比較や相談先を詳しく解説しています。
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