実家じまいコラム
実家じまいで使える補助金にはどんなものがある?解体・空き家バンクなど自治体の制度を解説
この記事は、官公庁・関連団体の公式情報などの一次情報と出典を確認したうえで、実家じまい案内所編集部が作成・更新しています。編集方針については運営ポリシーをご覧ください。
この記事のポイント
- 実家じまいのうち、遺品整理・家財処分の費用そのものに対する国や自治体の直接的な補助金は、現時点では一般的ではありません
- 一方、老朽化した空き家の解体については、多くの自治体が独自の補助金制度を設けています(例: 浜松市=解体費用の1/3・上限50万円、宇都宮市=2/3・上限70万円、いずれも2026年度制度)
- 解体せずに空き家を活用したい場合は、国土交通省が構築を支援する『全国版空き家・空き地バンク』に登録し、売却・賃貸の相手を探す方法もあります(出典: 国土交通省)
- 補助金ではありませんが、相続した実家を取り壊して(または耐震改修して)売却する場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる税制上の特例があります(相続人が3人以上の場合は最高2,000万円。適用は2027年12月31日までの譲渡。出典: 国税庁タックスアンサーNo.3306)
- 補助金制度は自治体ごとに名称・条件・金額が大きく異なり、着工前の事前申請が前提となっているケースが一般的です
- 制度の詳細は年度によって変わることがあるため、実家がある市区町村の空き家対策窓口に直接確認することが確実です
※画像はイメージです(写真素材: Pexels)
実家じまいを考え始めると、「使える補助金はないか」と調べる方は少なくありません。しかし「実家じまいの補助金」とひとまとめに考えると、実際に利用できる制度を見落としたり、逆に期待しすぎてしまったりすることがあります。補助金は「何に対する補助か」によって、利用できるかどうかが大きく変わるためです。
この記事では、実家じまいを構成する費用のうち、どの部分に補助金が使えて、どの部分には使いにくいのかを整理し、代表的な制度を紹介します。
実家じまいの費用そのものへの補助金は一般的ではない
まず押さえておきたいのが、遺品整理・家財処分といった「実家じまいの費用そのもの」を直接補助する国や自治体の制度は、現時点では一般的ではないという点です。家財の整理・処分は私的な性質が強い作業とみなされることが多く、解体や耐震改修のような住宅政策上の補助とは扱いが異なります。
ただし、費用そのものへの補助はなくても、自治体の粗大ごみ・特別収集制度を活用することで、業者に依頼する範囲を減らし、結果的に負担を抑えられる場合があります。自治体によっては、遺品整理のように一時的に大量のごみが出るケースに対応した収集制度を用意していることもあります。制度の有無や手数料は自治体ごとに異なるため、お住まいの自治体のホームページで確認する方法があります。遺品整理・家財処分費用そのものの目安や、他の節約方法については「実家じまいの費用はいくら?」で詳しく解説しています。
空き家の「解体」には多くの自治体で補助金がある
実家じまいの費用の中で、補助金が比較的用意されやすいのが「解体費用」です。老朽化して倒壊のおそれがある空き家について、多くの自治体が独自の補助金制度を設けています。
2026年度時点の実例として、浜松市は解体費用の1/3(上限50万円)、宇都宮市は除却費用と延床面積に応じた金額のいずれか低い額の2/3(上限70万円)を補助しています(出典: 浜松市、宇都宮市、いずれも2026年度)。ただし補助率・上限額・対象となる建築年数などの条件は自治体ごとに大きく異なり、制度自体を実施していない自治体もあります。解体費用の内訳の考え方や、補助金申請時の注意点は「空き家の解体はどう進める?」で詳しく解説しています。
解体しない場合の選択肢 — 空き家バンク
「解体するほどではないが、そのまま維持するのも負担」という場合は、国土交通省が構築・運営を支援する「全国版空き家・空き地バンク」も選択肢になります。空き家バンクは、空き家を売却・賃貸したい所有者の情報を、購入・入居を希望する人にマッチングする仕組みで、令和8年6月末時点で複数の自治体が参加しています(出典: 国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」)。補助金のように現金が支給される制度ではありませんが、解体費用そのものを避けられる可能性がある選択肢として、費用面で行き詰まったときの検討材料になります。
解体して売却するなら — 相続空き家の3,000万円特別控除
補助金と並んで負担を大きく左右するのが、税制上の特例です。相続した実家を売却する場合、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」により、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる場合があります(相続または遺贈により家屋・敷地を取得した相続人が3人以上の場合は最高2,000万円。出典: 国税庁タックスアンサーNo.3306、確認日2026-08-10)。
主な要件は次のとおりです(いずれも同出典)。
- 対象は昭和56年5月31日以前に建築された家屋(旧耐震基準の時期の建物)
- 売却までに家屋を取り壊すか、耐震基準を満たす改修を行うこと
- 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
- 売却代金が1億円以下であること
- 適用期限は2027年(令和9年)12月31日までの譲渡
「解体費用の補助金」と「売却時の特別控除」は併用の検討余地がある別の制度で、解体して更地で売却する流れを取る場合には、どちらも関わってきます。ただし適用要件は細かく定められており、ここに挙げた以外の要件もあるため、実際に利用できるかどうかは税務署・税理士など専門家への確認をおすすめします。相続手続きの全体像は「実家(空き家)を相続したら何をする?」で解説しています。
補助金を使うときの注意点
自治体の補助金制度を利用する場合、次の点に共通して注意が必要です。
- 着工前の事前申請が原則: 多くの制度では、工事に着手する前に事前相談・事前調査の申請を行うことが条件になっています。着工後や完了後に申請しても対象外になるケースが一般的です
- 年度ごとの予算に上限がある: 申請が集中すると、受付期間内であっても早期に締め切られる場合があります
- 対象となる条件が細かく定められている: 建築年数、所有者の要件(税金の滞納がないこと等)、共有名義の場合の同意など、自治体ごとに条件が異なります
- 制度は年度によって変わることがある: 補助率や上限額は、自治体の予算状況によって毎年見直される場合があります
自分の実家がある自治体の制度を調べる方法
補助金の有無や内容は自治体によって大きく異なるため、実家が所在する市区町村のホームページで「空き家対策」「空家等除却補助金」などのキーワードで検索するか、自治体の空き家対策担当窓口に直接問い合わせることをおすすめします。制度を実施していない自治体もあるため、「実家じまいなら必ず何かの補助金が使える」と決めつけず、対象となる費用ごとに個別に確認する姿勢が大切です。
実家(不動産)を今後どうするか、解体以外の選択肢とあわせて比較したい場合は「実家(不動産)をどうするか」、相続の手続きについては「実家(空き家)を相続したら何をする?」もあわせてご覧ください。
まとめ
実家じまいで使える補助金は、「何に対する補助か」によって対象が大きく変わります。遺品整理・家財処分の費用そのものへの直接的な補助金は一般的ではありませんが、空き家の解体については、浜松市(1/3・上限50万円)や宇都宮市(2/3・上限70万円)のように、多くの自治体が独自の補助制度を設けています。解体しない場合は空き家バンクの活用も選択肢です。また、相続した実家を取り壊して売却する場合は、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる税制上の特例(2027年12月31日までの譲渡が対象)も確認しておきたいところです。制度の詳細は自治体・年度によって異なるため、実家がある市区町村の窓口に直接確認することをおすすめします。地域の相談先は「事業者を探す」からも探せます。
よくある質問
実家じまい(遺品整理・片付け)の費用そのものに使える補助金はありますか?
遺品整理・家財処分の費用そのものを直接補助する国や自治体の制度は、現時点では一般的ではありません。ただし、自治体の粗大ごみ・特別収集制度を活用することで、業者に依頼する範囲を減らし、結果的に負担を抑えられる場合があります。制度の有無や手数料は自治体ごとに異なるため、お住まいの自治体のホームページで確認する方法があります。費用を抑える他の方法は『実家じまいの費用はいくら?』でも解説しています。
空き家の解体に使える補助金にはどんなものがありますか?
多くの自治体が『老朽危険空き家除却補助金』等の名称で、倒壊のおそれがある老朽空き家の解体費用の一部を補助する制度を設けています。例えば浜松市は解体費用の1/3(上限50万円)、宇都宮市は2/3(上限70万円)を補助しています(2026年度時点)。補助率・上限額・対象条件は自治体ごとに異なるため、詳しくは『空き家の解体はどう進める?』で実例を紹介しています。
空き家バンクとはどんな制度ですか?
空き家バンクは、空き家を売却・賃貸したい所有者の情報を、購入・入居を希望する人にマッチングする仕組みで、国土交通省が『全国版空き家・空き地バンク』として構築・運営を支援しています(出典: 国土交通省)。補助金のように現金が支給される制度ではありませんが、解体せずに空き家を手放す・活用する選択肢として、費用面で行き詰まったときの検討材料になります。
実家を解体して売却する場合、税金の優遇はありますか?
相続した実家が昭和56年5月31日以前に建築された家屋である場合、取り壊して(または耐震基準を満たす改修をして)売却すると、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります(相続または遺贈により取得した相続人が3人以上の場合は最高2,000万円)。相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること、売却代金が1億円以下であることなどの要件があり、適用は2027年(令和9年)12月31日までの譲渡が対象です(出典: 国税庁タックスアンサーNo.3306)。適用要件は細かく定められているため、実際に利用できるかは税務署や税理士に確認することをおすすめします。
補助金を使うときの注意点はありますか?
多くの自治体では、工事に着手する前に事前相談・事前調査の申請を行うことが条件になっており、着工後や完了後に申請しても対象外になるケースが一般的です。また年度ごとの予算に上限があり、申請が集中すると受付が早期に締め切られる場合もあります。制度を利用したい場合は、早めに自治体の窓口に相談することをおすすめします。
自分の実家がある自治体に補助金があるか、どう調べればいいですか?
実家が所在する市区町村のホームページで「空き家対策」「空家等除却補助金」などのキーワードで検索するか、自治体の空き家対策担当窓口に直接問い合わせる方法が確実です。制度の有無・内容は自治体・年度によって異なり、実施していない自治体もあります。
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