実家じまいコラム
空き家の処分方法まとめ — 売却・解体・活用・譲渡の選択肢と進め方
この記事は、官公庁・関連団体の公式情報などの一次情報と出典を確認したうえで、実家じまい案内所編集部が作成・更新しています。編集方針については運営ポリシーをご覧ください。
この記事のポイント
- 空き家数は900万戸、空き家率は13.8%で、いずれも過去最多・過去最高となっています(出典: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」)
- 空き家の処分方法は、大きく「売却」「解体」「活用」「譲渡」の4つに整理できます
- 実家を売却する際は、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります(出典: 国税庁タックスアンサーNo.3306)。建築時期・売却期限など複数の要件があるため個別確認が必要です
- 建物を解体して更地にすると、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、土地の税負担が増える可能性があります
- 国土交通省が支援する「全国版空き家・空き地バンク」を使うと、自治体を横断して空き家情報を掲載・検索できます(出典: 国土交通省)
※画像はイメージです(写真素材: Pexels)
実家を相続したものの、誰も住まないまま空き家になっている、という方は少なくありません。「そのうち考えよう」と後回しにしているうちに時間が経ち、いざ動こうとすると「売る・壊す・貸す・手放す、どれがいいのか分からない」と迷ってしまうケースも多く見られます。
この記事では、空き家になった実家の処分方法を「売却」「解体」「活用」「譲渡」の4つに整理し、それぞれの特徴と、選ぶときに考えたい判断軸を解説します。あわせて、処分の方針を決める前提となる片付けの進め方にも触れます。なお、相続・税務・法務にかかわる内容は制度の一般的な仕組みの説明にとどめています。個別の判断は、必ず税理士・司法書士・不動産の専門家や自治体の窓口に確認してください。
空き家を放置するとどうなる? まず知っておきたいリスク
総務省統計局が2024年に公表した「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果」によると、2023年10月1日時点の全国の空き家数は900万戸(899万5千戸)で、2018年(849万戸)から51万戸増加し、過去最多となりました。総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.8%で、2018年(13.6%)から0.2ポイント上昇し、過去最高となっています(出典: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果」)。実家を空き家のまま放置している状態は、決して珍しいことではなく、全国的にも増え続けている状況だといえます。
一方で、空き家を放置し続けることには制度上のリスクもあります。空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづき、著しく老朽化するなどして周辺の生活環境に悪影響を及ぼしていると判断された空き家は「特定空家等」、そのまま放置すれば特定空家等に該当するおそれがある空き家は「管理不全空家等」として、市区町村長による指導・勧告等の対象になり得ます。管理不全空家等の区分は令和5年の法改正で新設されたもので、この改正法は令和5年12月13日に施行されています(出典: 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について」)。勧告を受けた敷地は、固定資産税の住宅用地特例の対象から除外される場合があり、税負担が増える可能性があります。この仕組みの詳しい解説は「実家を空き家のまま放置すると固定資産税はどうなる?」、日常的な管理の考え方は「空き家管理とは?何をすればいい?」でそれぞれ整理していますので、あわせてご覧ください。
空き家の処分方法は主に4つ ― まずは全体像を比較
実家の空き家をどうするか検討するとき、選択肢は大きく次の4つに整理できます。
それぞれの選択肢について、次から詳しく見ていきます。
1. 売却する(仲介・買取)
もっともイメージしやすい選択肢が、不動産会社を通じた売却です。売却の方法には、大きく「仲介」と「買取」の2種類があります。仲介は、不動産会社が買主を探して仲介する方法で、時間はかかるものの市場価格に近い金額での売却が期待できます。買取は、不動産会社が物件を直接買い取る方法で、仲介に比べると価格は低くなる傾向があるとされる一方、売却までのスピードは早くなりやすい方法です。
なお、売却を進めるには、その前提として相続登記(名義変更)が済んでいる必要があります。相続登記が済んでいない場合は、まず司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
また、相続または遺贈で取得した空き家を、一定の要件のもとで売却した場合、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」により、譲渡所得から最高3,000万円(令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合は2,000万円)を控除できることがあります。主な要件として、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、相続時から売却時まで事業・賃貸・居住の用に供されていないこと、売却代金が1億円以下であることなどが挙げられます。適用期限は、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売却し、かつ相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することとされています(出典: 国税庁タックスアンサーNo.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」)。要件は他にも細かい規定があり、個別の適用可否は税務署や税理士への確認が必要です。
2. 解体して土地を活用・売却する
老朽化が進んでいて建物のままでは売却や活用が難しい場合、解体して更地にしてから売却・活用する方法もあります。更地であれば、買主にとって用途の自由度が高く、売却先を見つけやすくなる場合があります。
一方で、建物を解体して更地にすると、その土地は固定資産税の住宅用地特例(住宅が建っている土地の課税標準を軽減する仕組み)の対象外になり、土地にかかる固定資産税が増える可能性がある点には注意が必要です。解体費用の内訳や自治体の補助金の考え方は「空き家の解体はどう進める?費用の内訳と自治体の補助金」、固定資産税への影響は「実家を空き家のまま放置すると固定資産税はどうなる?」で詳しく解説しています。
3. 賃貸などで活用する
売却や解体をせず、人に貸すなどして活用を続ける方法もあります。実際に居住の用に供する状態を維持できれば、住宅用地特例の趣旨に沿った状態を保ちやすくなります。ただし、賃貸に出すには一定のリフォームや設備投資が必要になる場合や、遠方に住んでいると管理・対応が難しい場合もあります。活用の可否や採算については、地域の不動産会社や専門家に相談しながら検討することをおすすめします。
4. 空き家バンク・譲渡を検討する
立地や建物の状態によっては、一般的な不動産市場での売却が難しいケースもあります。その場合の選択肢の一つが「空き家バンク」です。国土交通省が支援する「全国版空き家・空き地バンク」は、各自治体が把握している空き家等の情報を、自治体を横断して簡単に検索できるようにする仕組みで、株式会社LIFULL及びアットホーム株式会社が運営し、国が構築費用の一部を補助しています。平成29年10月から試行運用が始まり、平成30年4月から本格運用が開始されています(出典: 国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」)。
また、自治体や地域のNPO法人、近隣の親族などへの無償譲渡・寄付を検討するケースもあります。ただし、譲渡・寄付を受け入れるかどうかは自治体や相手方の判断によるため、必ず事前に相談し、条件を確認する必要があります。
処分方法を選ぶときの判断軸
4つの選択肢のうち、どれが適しているかは家庭ごとの事情によって異なります。判断にあたっては、次のような点を整理しておくと検討しやすくなります。
- 住む予定の有無: 将来的に自分や家族が住む可能性があるなら、解体よりも活用や維持管理を優先する選択肢が考えられます
- 管理にかけられる手間: 遠方に住んでいて定期的な管理が難しい場合は、早めに売却や譲渡を検討したほうが負担を減らせる場合があります
- 資金・費用: 解体費用やリフォーム費用を捻出できるかどうかで、選べる選択肢の幅が変わります
- スピード感: 早く手放したいのか、時間をかけてでも高く売りたいのかによって、仲介と買取のどちらを選ぶかも変わってきます
いずれの軸についても、一人で判断せず、不動産会社や税理士、自治体の空き家相談窓口など複数の専門家に相談しながら整理することをおすすめします。実家(不動産)を今後どうするかを広く比較検討したい場合は「実家(不動産)をどうするか — 売却・賃貸・管理の選択肢と相談先」もあわせてご覧ください。
処分の前に ― 実家の片付けをどう進めるか
売却・解体・活用・譲渡のいずれを選ぶ場合でも、まずは家の中の片付けが必要になります。電気・水道を止めるタイミングや、貴重品・重要書類の探し方、近隣への配慮など、片付けの具体的な段取りは「空き家になった実家の片付け方 — 電気・水道はいつ止める?」で解説しています。
自分たちだけで片付けを進めるのが難しい場合は、片付け業者に依頼する方法もあります。地域の業者を比較したい場合は、東京都・大阪府で空き家片付けに対応する事業者一覧もあわせてご確認ください。
まとめ
空き家数900万戸・空き家率13.8%という数字が示すとおり(出典: 総務省統計局)、実家が空き家になること自体は全国的に珍しくない状況です。処分方法は「売却」「解体」「活用」「譲渡」の4つに大きく整理でき、それぞれにメリット・注意点があります。住む予定の有無、管理にかけられる手間、資金、スピード感といった判断軸をもとに、家庭の事情に合った方法を検討してみてください。
税制上の特例や解体後の固定資産税、相続登記の要否など、法務・税務にかかわる部分は制度が細かく定められています。個別の判断は自己判断で進めず、税理士・司法書士・不動産の専門家や、物件所在地の自治体の窓口に確認しながら進めることをおすすめします。
よくある質問
空き家の処分方法にはどんな選択肢がありますか?
大きく分けて、不動産会社に仲介・買取を依頼して売却する方法、建物を解体して更地にしてから売却・活用する方法、賃貸などで活用を続ける方法、空き家バンクや自治体・親族への譲渡を検討する方法の4つがあります。どれが適しているかは、立地や建物の状態、資金の余裕、今後住む予定の有無などによって異なるため、比較検討したうえで不動産の専門家に相談することをおすすめします。
空き家を売る場合、仲介と買取のどちらがいいですか?
仲介は買主を探すため時間がかかる一方、市場価格に近い金額での売却が期待できます。買取は不動産会社が直接買い取るため売却までが早い一方、仲介に比べて価格は低くなる傾向があるとされています。どちらが適しているかは、売却を急ぐ事情の有無や建物の状態によって変わるため、複数の不動産会社に相談し、条件を比較することをおすすめします。
実家を売却する際に使える税金の控除はありますか?
相続または遺贈で取得した空き家を売却する場合、一定の要件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」により、譲渡所得から最高3,000万円(令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合は2,000万円)を控除できる場合があります(出典: 国税庁タックスアンサーNo.3306)。昭和56年5月31日以前に建築された家屋であることや売却代金が1億円以下であることなど複数の要件があり、適用期限も定められているため、適用可否は税務署や税理士に個別に確認することをおすすめします。
空き家を解体すると固定資産税は上がりますか?
建物を解体して更地にすると、住宅用地に適用される固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)の対象外になるため、土地にかかる固定資産税が増える可能性があります。詳しい仕組みは「実家を空き家のまま放置すると固定資産税はどうなる?」で解説していますので、あわせてご確認ください。解体前に、更地後の税額の見込みを自治体の資産税担当課に確認しておくと安心です。
空き家バンクとは何ですか?
空き家バンクは、自治体が把握している空き家の情報を、購入・賃貸を希望する人に紹介する制度です。国土交通省が支援する「全国版空き家・空き地バンク」は、複数の自治体の空き家情報を横断して検索できる仕組みで、平成30年4月から本格運用が始まっています(出典: 国土交通省)。売却が難しい空き家でも、地域によっては活用希望者とつながる可能性があるため、選択肢の一つとして検討する価値があります。
相続登記が済んでいなくても実家を売却できますか?
一般的に、不動産を売却するには、その前提として相続登記(名義変更)を済ませ、売却する人が正式な所有者になっている必要があります。相続登記が済んでいない場合は、まず司法書士などの専門家に相談し、名義変更の手続きを進めることをおすすめします。
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