実家じまい案内所

本ページはプロモーションが含まれています

実家じまいコラム

実家じまいでやってはいけないこと4つ — 順番を間違えると取り返しがつかない

この記事は、官公庁・関連団体の公式情報などの一次情報と出典を確認したうえで、実家じまい案内所編集部が作成・更新しています。編集方針については運営ポリシーをご覧ください。

この記事のポイント

  • 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について単純承認・限定承認・放棄のいずれかを選ぶこととされています(民法第915条第1項)
  • 相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなすと定められています(民法第921条第1号)。相続放棄を検討している間の遺品の処分には注意が必要です
  • 環境省は、家庭の廃棄物を回収するには市区町村の一般廃棄物処理業許可や委託が必要で、産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可では回収できないと注意喚起しています
  • 相続登記は令和6年4月1日から申請が義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内の申請を怠ると10万円以下の過料の適用対象とされています(法務省)
  • 施行日より前に開始した相続で未登記のものは、令和9年3月31日までの申請が必要とされています(法務省)
クリップボードに書かれた片付けのチェックリストとペン(イメージ)

※画像はイメージです(写真素材: Pexels)

実家じまいでの「失敗した」という話は、作業の上手い下手ではなく、手をつける順番で起きていることが少なくありません。しかも順番を間違えたときのダメージは、あとから作業をやり直しても取り戻せない種類のものです。この記事では、避けたい4つを、法令や公的機関の資料にもとづいて整理します。

実家じまいでやってはいけない4つ。急いで遺品を処分する、チラシや巡回のトラックに頼む、名義をそのままにする、家族に相談せず1人で決める

1. 相続の方針を決める前に、急いで遺品を処分する

いちばん取り返しがつかないのがこれです。

民法第915条第1項は、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない」と定めています(ただし、この期間は利害関係人または検察官の請求によって家庭裁判所において伸長することができるとされています)。

そして民法第921条第1号は、「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき」は単純承認をしたものとみなすと定めています(ただし、保存行為および第602条に定める期間を超えない賃貸は除かれます)(出典: 民法(e-Gov法令検索))。

つまり、負債の有無がはっきりしないうちに遺品を処分してしまうと、相続放棄という選択肢が使えなくなる可能性があるということです。実家に借入や連帯保証が残っているかどうかを確認する前に、良かれと思って片付けを急いだ結果、あとから困るケースがあり得ます。

どこまでが「処分」にあたるかは個別の事情によって判断が分かれる部分です。相続放棄を少しでも検討しているなら、片付けに着手する前に弁護士・司法書士などの専門家や家庭裁判所に確認してください。期限との関係は「実家じまいのスケジュールの立て方」「実家(空き家)を相続したら何をする?」でも整理しています。

実家じまいで順番を間違えると取り返しがつかない期限。相続の承認・放棄は3か月(民法第915条第1項)、その間の遺品の処分は単純承認とみなされる場合がある(民法第921条第1号)、相続登記の申請期限は3年で怠ると10万円以下の過料

2. チラシや巡回のトラックに、そのまま頼む

「無料回収」「格安」をうたう回収業者に、その場の勢いで依頼してしまうパターンです。

環境省は、家庭の廃棄物を回収するには市区町村の「一般廃棄物処理業許可」や委託が必要であり、「産業廃棄物処理業の許可」や「古物商の許可」では回収できないと明示しています。そのうえで、無許可の回収業者を利用した場合に報告されている問題として、回収後に不法投棄された事例、フロンガスや鉛などの有害物質が環境中に放出される事例、不適正な管理による火災、高額な処理料金を請求された事例を挙げています(出典: 環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」)。

依頼する前に、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可(または委託)の有無を確認してください。確認方法は「遺品整理業者の許可・資格まとめ」に、実際に報告されているトラブル事例は「遺品整理業者とのトラブル事例と防ぎ方」にまとめています。

3. 建物の名義をそのままにしておく

片付けが済んだ安心感で、不動産の名義変更を後回しにしてしまうケースです。

法務省によると、令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化され、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内」の申請が義務付けられました。また、遺産分割が成立した場合には、成立した日から3年以内にその内容を踏まえた所有権の移転の登記を申請することが義務付けられています。正当な理由がないのに申請を怠ったときは、10万円以下の過料の適用対象とされています(出典: 法務省「相続登記の申請義務化について」)。

施行日より前に開始した相続によって不動産を取得していて相続登記をしていない場合も、令和9年3月31日まで(不動産を相続で取得したことを知った日が令和6年4月以降の場合はその日から3年以内)に相続登記をする必要があるとされています。なお、期限までに遺産分割がまとまらない場合に備えて、「相続人申告登記」という新たな登記も設けられています。

過料の問題だけではありません。名義が故人のままだと、売却も解体も進められません。相続人が増える(次の世代へ相続が重なる)ほど、合意形成の手間は増えていきます。

4. 家族に相談せず、一人で判断して進める

遠方に住むきょうだいに代わって片付けを引き受けた側が、良かれと思って処分を進め、あとから「あれは残しておいてほしかった」となるケースです。

遺品には、家財のように価値の判断が難しいものだけでなく、相続財産にあたるものも含まれます。処分や売却を進める前に、少なくとも次の点は相続人間で共有しておくと行き違いが減ります。

  • 何を処分するか: おおまかな品目リストを事前に共有する
  • 買取に出すもの: 査定額と入金の扱いをどうするか決めておく
  • 記録を残す: 作業前後の写真、処分品リスト、領収書・査定書を保管する
  • 費用の負担: 誰が立て替え、最終的にどう精算するかを先に決めておく

話の進め方は「実家じまいは何から始める?」、状況別の進め方は「実家の片付けはどう進める?」にまとめています。親がご存命で片付けを相談したい場合は「実家の片付けを親と話し合うコツ」もあわせてご覧ください。

逆に、早めにやっておくとよいこと

  • 負債の有無を確認する — 郵便物、通帳の引き落とし、督促状などから債務の手がかりを探す(これは片付けを始める前に)
  • 期限のある手続きを一覧にする — 3か月・3年など、動かせない期限から逆算して予定を組む
  • 相見積もりを取る — 同じ作業範囲で複数社を比較する。費用の目安は「費用相場」、地域の相談先は「地域から相談先を探す」から確認できます
  • 状況を整理する — どのサービスが当てはまるか迷う場合は「かんたん診断」で状況と間取りを選ぶと目安が確認できます

まとめ

実家じまいの失敗は、片付けの上手さではなく順番で決まります。相続の方針を決める前に遺品を処分しないこと、無許可の回収業者に頼まないこと、名義をそのままにしないこと、家族に相談せず一人で決めないこと。この4つを外さなければ、あとから取り返しがつかない事態はかなり避けられます。相続放棄の可否、登記や税務の取り扱いなど個別の判断が必要な部分については、弁護士・司法書士・税理士などの専門家や、家庭裁判所・法務局・自治体の窓口にご相談ください。

よくある質問

相続放棄を考えています。遺品を片付けてもいいですか?

民法第921条第1号は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは単純承認をしたものとみなすと定めています(保存行為等は除かれます)。どこまでが「処分」にあたるかは個別の事情によって判断が分かれるため、相続放棄を検討している段階では、片付けに着手する前に弁護士・司法書士などの専門家や家庭裁判所に確認することをおすすめします。

相続放棄の期限はいつまでですか?

民法第915条第1項は、相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、単純若しくは限定の承認または放棄をしなければならないと定めています。ただし、この期間は利害関係人または検察官の請求によって家庭裁判所において伸長することができるとされています。

相続登記をしないとどうなりますか?

法務省によると、令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化され、自己のために相続の開始があったことを知り、かつその不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内の申請が義務付けられました。正当な理由がないのに申請を怠ったときは10万円以下の過料の適用対象とされています。施行日より前に開始した相続で未登記のものは、令和9年3月31日までの申請が必要とされています。

「無料回収」をうたうトラックに頼むのは避けたほうがいいですか?

環境省は無許可の回収業者を利用しないよう注意喚起しており、回収後に不法投棄された事例、有害物質が適正に処理されない事例、高額な処理料金を請求された事例を挙げています。依頼前に市区町村の一般廃棄物処理業許可(または委託)の有無を確認してください。

きょうだいに相談せず進めてしまいました。どうすればいいですか?

遺品には相続財産にあたるものが含まれることがあるため、処分や売却を進める前に相続人間で認識を合わせておくことが基本です。すでに作業が進んでいる場合は、何をどう扱ったかを記録として残し(写真・リスト・領収書)、早い段階で共有することが後の行き違いを減らします。金銭や不動産の分け方で折り合いがつかない場合は、専門家への相談を検討してください。

あわせて読みたい

お住まいの地域の相談先を探す

都道府県を選ぶと、実家じまい・遺品整理・生前整理に対応する相談先を探せます。

地域から相談先を探す

最終更新日: