実家じまいコラム
実家じまいの片付けはどう進める?仕分けの基準・処分ルート・自分でやるか業者に頼むかの判断軸
この記事は、官公庁・関連団体の公式情報などの一次情報と出典を確認したうえで、実家じまい案内所編集部が作成・更新しています。編集方針については運営ポリシーをご覧ください。
この記事のポイント
- 実家じまいの片付けは、「家全体を見て回る→仕分けの基準を決める→貴重品を確保する→部屋ごとに仕分ける→処分ルートに沿って搬出する→家の今後を検討する」という順番で進めると、途中で手が止まりにくくなります
- 仕分けに迷ったら、その場で「残す」か「処分」かを無理に決めず、いったん「保留」にして期限を決めて後から見直す方法が有効です
- 環境省の調査によると、生活系ごみ(粗大ごみを含む)の収集手数料を一部または全部有料化している市区町村は1,741市区町村のうち82.0%(1,427市区町村)、粗大ごみを除くと67.1%(1,169市区町村)にとどまり、粗大ごみは別途手数料が必要な自治体が多いことがうかがえます(出典: 環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度)について」)
- エアコン・テレビ・冷蔵庫/冷凍庫・洗濯機/衣類乾燥機の家電4品目は家電リサイクル法の対象で、購入した店(または買替え先の店)への引取り依頼が基本のルートです。費用はメーカーごとのリサイクル料金と小売業者ごとの収集運搬料金の合計になります(出典: 経済産業省「家電4品目の『正しい処分』早わかり!」)
- 自分でやるか業者に頼むかは、荷物の量・使える時間・体力・精神的な負担・特殊な作業(仏壇の供養や特殊清掃など)の有無で判断するのが基本で、一部だけ業者に頼む「部分的な併用」も選択肢です
※画像はイメージです(写真素材: Pexels)
「実家じまい」を考え始めたとき、多くの人が最初にぶつかるのが「片付け」という物理的な壁です。何十年分もの荷物を前に、どこから手をつければいいのか、何を残して何を処分すればいいのか、判断に迷う場面が次々と出てきます。総務省統計局の調査では、2023年10月1日時点の全国の空き家数は900万2千戸、空き家率は13.8%といずれも過去最多・過去最高になったと報告されており(出典: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」)、実家の片付けに向き合う人が増えていることの背景にもなっています。
この記事では、実家じまいの片付けを「どういう順番で」「どんな基準で」「どのルートに沿って」進めればよいかを整理します。あわせて、思い出の品がなかなか手放せないという気持ちの面や、自分でやるか業者に頼むかの判断軸にも触れます。親が健在か、亡くなった後か、実家がすでに空き家かによって注意すべき点が変わる場合は「実家の片付けはどう進める?状況別の進め方と注意点」もあわせて確認してください。
実家じまいの片付け、進め方6ステップ
実家じまいの片付けは、いきなり荷物に手をつけるのではなく、次のような順番で進めると途中で手が止まりにくくなります。
STEP1〜3は「片付けの土台づくり」にあたる部分です。全体量を把握しないまま目についた場所から手をつけると、途中で作業量の見通しが立たなくなりがちです。また、通帳・印鑑・不動産の権利証・保険証券・現金・貴重品といった、誤って処分すると取り返しのつかないものは、荷物の整理が本格化する前になるべく早く探し出し、別の場所にまとめておくことが重要です。
STEP4以降が実際の仕分け・搬出作業にあたります。次の章から、STEP2の「仕分けの基準」とSTEP5の「処分ルート」について、それぞれ詳しく見ていきます。
仕分けの基準 — 「残す・保留・処分」の3つで考える
実家の片付けで手が止まりやすいのは、1つひとつの物について「残すか、処分するか」を白黒はっきり決めようとしてしまうときです。判断に迷うものまでその場で決めようとすると、時間がかかるうえに精神的な負担も大きくなります。おすすめなのは、「残す」「処分」の間に「保留」を置き、3つの選択肢で考える方法です。
「保留」に分けたものは、それで終わりではなく「いつまでに見直すか」の期限をあらかじめ決めておくことがポイントです。期限を決めずに保留箱を積み上げてしまうと、結局そのまま先送りになりがちです。数週間〜数か月後にあらためて見直し、その時点で「残す」か「処分」かを決め直します。
なお、買取に出せる可能性があるかどうかで仕分けに迷う品目(貴金属・着物・骨董品・カメラ・楽器・ブランド品など)については、「家財の分別と『売れるもの』の見極め方」と「実家の片付けで売れるものは?」で詳しく解説しています。処分の前に一度、売れるかどうかを確認しておくと、処分費用の負担を軽くできる場合があります。
思い出の品が捨てられないのは自然なこと
仕分けを進めていくと、物としての実用性や資産価値とは別に、「思い出があって手放せない」という気持ちにぶつかる場面が必ず出てきます。長年家族が暮らした家の中の物には、実用性以上の意味が積み重なっており、片付けが進むほど寂しさや罪悪感を感じやすくなるのは自然な反応です。
無理にすべてを処分しようとする必要はありません。写真や動画に撮って残す、特に思い入れの強いものだけ数点に絞って手元に残す、仏壇のように区切りの儀式(閉眼供養など)を挟んで気持ちを整理するといった、気持ちに配慮した進め方があります。こうした気持ちとの向き合い方は「実家じまいが寂しい・罪悪感がある — 気持ちと向き合いながら進めるための考え方」で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
処分ルートを整理する
「処分」に分けたものは、品目によって適切な処分ルートが異なります。実家の片付けで出てくる主な処分ルートを整理します。
一般ごみ・資源ごみ
日常的な可燃ごみ・不燃ごみ・資源ごみ(缶・びん・ペットボトル・古紙など)は、お住まいの自治体が定める分別区分と収集日に従って出します。分別のルールは市区町村ごとに異なるため、実家の所在地の自治体ホームページで確認するのが確実です。
粗大ごみ
家具や大型の日用品は、多くの場合「粗大ごみ」として、通常のごみとは別に自治体への申込みと処理手数料が必要になります。環境省の調査によると、ごみの収集について収集区分の一部または全部を有料化している市区町村は、生活系ごみ(粗大ごみを含む)で1,741市区町村のうち82.0%(1,427市区町村)、粗大ごみを除いた場合は67.1%(1,169市区町村)にとどまっています(出典: 環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度)について」)。この差からも、通常のごみは無料の自治体でも粗大ごみだけは別途手数料がかかるケースが一定数あることがうかがえます。品目ごとの手数料・サイズ区分・申込み方法は自治体によって異なるため、片付けを始める前にお住まいの市区町村のごみ収集ページで確認しておくと、当日になって出せないという二度手間を防げます。
なお、仏壇を粗大ごみとして処分する場合の具体的な手順や料金例は「仏壇を自分で処分する方法は?」で紹介しています。
家電4品目(家電リサイクル法)
エアコン、テレビ(ブラウン管・液晶・プラズマ)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目は、家庭ごみとしては出せず、家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)にもとづくルートで処分します。経済産業省によると、処分の基本的な流れは次のとおりです(出典: 経済産業省「家電4品目の『正しい処分』早わかり!」)。
- 買い替えの場合は、新しい製品を購入する店に引取りを依頼する
- 買い替えではなく処分のみの場合は、その製品を購入した店に引取りを依頼する
- 購入した店がわからない場合は、お住まいの市区町村が案内する方法で処分する
- 支払う費用は「収集・運搬料金(各小売業者が設定)」+「リサイクル料金(メーカーごとに設定)」の合計になる
経済産業省は、街中を巡回したり無料回収をうたったりする「無許可」の業者に引き渡すと、不法投棄や不適正処理、火災、高額請求トラブルにつながった事例が報告されていると注意を呼びかけています。家電に限らず家財の回収を業者に依頼する場合は、その業者が自治体の「一般廃棄物処理業」の許可(または委託)を受けているかどうかを確認することが、トラブルを避ける基本になります(同出典)。
買取・リユース
まだ使える状態のもの、価値がありそうなものは、処分の前に買取に出せないか検討する余地があります。買取対象になりやすい品目や売り方の選択肢は「実家の片付けで売れるものは?」で解説しています。
自分でやるか、業者に頼むかの判断軸
実家じまいの片付けをすべて自分たちだけで行うか、業者に依頼するかは、次のような軸で考えると判断しやすくなります。
- 荷物の量: 部屋数や荷物の量が多いほど、自分たちだけでの搬出は負担が大きくなります
- 使える時間: 遠方に住んでいる、まとまった休みが取りにくいなど、通える回数に制約がある場合は業者への依頼が現実的です
- 体力・人手: 大型家具・家電の運び出しなど、体力や複数人での作業が必要な場面があります
- 精神的な負担: 思い出の品と向き合う作業は精神的な負担が大きく、無理に一人で抱え込む必要はありません
- 特殊な作業の有無: 仏壇の供養、遺品整理、特殊清掃など専門的な配慮が必要な作業が含まれるかどうか
すべてを自分でやるか、すべて業者に任せるかの二択である必要はなく、「重い家具の搬出だけ業者に頼み、仕分け自体は自分たちで行う」といった部分的な併用も選択肢の一つです。より詳しい判断基準は、遺品整理の場合は「遺品整理を自分でやるか業者に頼むかの判断基準」、空き家の片付けの場合は「空き家の片付けは自分でやる?業者に依頼する?」でそれぞれ解説しています。業者に依頼する場合は、見積もりの内訳が明示されているか、自治体の「一般廃棄物処理業」の許可(または委託)を受けているかを、複数社を比較しながら確認することをおすすめします。
作業を始める前に確認しておきたいこと
片付けを本格的に始める前に、もう一つ確認しておきたいのが相続に関する手続きです。相続放棄を検討している場合、遺品や家財を処分してしまうと、その後の手続きに影響する可能性があります。また、2024年4月1日から相続登記の申請が義務化され、法務省によると、相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から正当な理由なく3年以内に登記の申請をしないと、10万円以下の過料の対象になるとされています(出典: 法務省「相続登記の申請義務化について」)。片付けを始める順番を間違えると取り返しがつかなくなるケースについては「実家じまいでやってはいけないこと4つ」でまとめていますので、作業前に一度目を通しておくことをおすすめします。個別の税務・法務上の判断は、税務署・法務局や税理士・弁護士など専門家に確認してください。
まとめ
実家じまいの片付けは、「家全体を見て回る→仕分けの基準を決める→貴重品を確保する→部屋ごとに仕分ける→処分ルートに沿って搬出する→家の今後を検討する」という順番で進めると、途中で手が止まりにくくなります。仕分けに迷ったら、「残す」「処分」の間に「保留」を置き、期限を決めて後から見直す方法が有効です。
粗大ごみは自治体ごとに手数料・申込み方法が異なり、家電4品目は家電リサイクル法にもとづくルートで処分する必要があります。無料回収をうたう無許可業者とのトラブルにも注意しながら、正規のルートで処分を進めましょう。思い出の品が捨てられないという気持ちは自然なことなので、無理に急がず、自分たちに合ったペースで、必要に応じて業者の力も借りながら進めていってください。
お住まいの地域で相談できる業者を探したい場合は「地域から相談先を探す」もあわせてご覧ください。
よくある質問
実家じまいの片付けは、何から手をつければいいですか?
まず家全体を一通り見て回り、荷物の量や部屋数のおおまかな見通しを立てることから始めます。そのうえで「残す・保留・処分」といった仕分けの基準を先に決めておくと、後の作業で迷いにくくなります。作業に入る前に、通帳・権利証・印鑑・保険証券などの貴重品や重要書類を先に探して確保しておくことも大切です。実際にどの部屋・場所から着手するかという具体的な進め方は「実家の片付けはどこから手をつける?」でも解説しています。
仕分けの基準がわからず、作業が止まってしまいます。どう考えればいいですか?
「残す」か「処分」かをその場で必ず決めなければいけないわけではありません。判断に迷うものは、いったん「保留」の箱やエリアに移し、「いつまでに決めるか」の期限だけ決めておく方法があります。保留にしたものを後日あらためて見直すことで、その場の感情に流されず、時間をかけて判断できます。買取に出せるかどうかで迷う場合は「家財の分別と『売れるもの』の見極め方」も参考にしてください。
思い出の品がどうしても捨てられません。無理にでも処分すべきですか?
無理に処分する必要はありません。長年暮らした家の物には家族の思い出が積み重なっており、片付けが進むほど寂しさや罪悪感を感じやすくなるのは自然な反応です。写真に撮って残す、特に思い入れの強いものだけ数点に絞って手元に残すなど、気持ちに配慮した進め方もあります。気持ちとの向き合い方は「実家じまいが寂しい・罪悪感がある」で詳しく解説しています。
粗大ごみや家電はどうやって処分すればいいですか?
粗大ごみは、通常のごみとは別に自治体への申込みと品目ごとの処理手数料が必要になる自治体が多く、金額や申込み方法は市区町村ごとに異なります。エアコン・テレビ・冷蔵庫/冷凍庫・洗濯機/衣類乾燥機の家電4品目は家電リサイクル法の対象で、原則として購入した店(または買い替え先の店)に引取りを依頼し、メーカーが定めるリサイクル料金と小売業者が定める収集運搬料金を支払う仕組みです。購入店がわからない場合は、お住まいの市区町村の案内に従います。無料回収をうたう無許可業者は不法投棄や高額請求のトラブルが報告されているため、依頼先は一般廃棄物処理業の許可の有無で確認しましょう。
片付けは自分でやるべきですか?業者に頼むべきですか?
どちらが正解ということはなく、荷物の量、使える時間、体力、精神的な負担の大きさ、仏壇の供養や特殊清掃といった特殊な作業の有無によって向き不向きが変わります。すべてを一人で抱え込む必要はなく、一部の作業だけ業者に依頼する組み合わせも選択肢です。より詳しい判断基準は、遺品整理の場合は「遺品整理を自分でやるか業者に頼むかの判断基準」、空き家の場合は「空き家の片付けは自分でやる?業者に依頼する?」で解説しています。
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