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実家じまいコラム

親が施設に入るときの実家の片付け方 — 遺品整理との違いと進め方

この記事は、官公庁・関連団体の公式情報などの一次情報と出典を確認したうえで、実家じまい案内所編集部が作成・更新しています。編集方針については運営ポリシーをご覧ください。

この記事のポイント

  • 親が施設に入居する場合の実家の片付けは、親が存命であるため「遺品整理」ではなく「生前整理」にあたり、家の中の家財は親の所有物である、という点が最大の違いです
  • 本人の同意を得ずに家財を処分せず、対話を重ねながら「持っていくもの」「実家に残すもの」「手放すもの」を一緒に決めていくことが基本の進め方です
  • 認知症などの理由で判断能力が不十分な方を保護・支援する制度として成年後見制度があり、財産の管理や施設への入所に関する契約が難しい場合の選択肢になります(出典: 法務省)
  • 家財の片付けが一段落したあとは、実家(建物)を維持管理する・賃貸に出す・売却するといった、家の今後の方針もあわせて検討しておくと二度手間を防ぎやすくなります
  • 荷物が多い、遠方で対応が難しいといった場合は業者に依頼する方法もあり、地域の相談先や生前整理業者の選び方を確認しながら進められます
本を段ボール箱に詰めている手元(イメージ)

※画像はイメージです(写真素材: Pexels)

親の介護施設や老人ホームへの入居が決まると、「実家をどうしよう」という問いが急に現実味を帯びてきます。入居先で必要な荷物をそろえなければならない一方、長年暮らしてきた家には、そのままでは片付けきれないほどの物が残っています。

ここで最初に押さえておきたいのは、このケースは「遺品整理」ではないということです。親は存命であり、家の中にある物は今も親自身の所有物です。この記事では、親が施設に入居する場面での実家の片付けについて、遺品整理との違い、進め方のステップ、残すもの・持っていくものの考え方、片付け後に家(不動産)をどうするかの検討、そして業者に頼む場合の視点までを整理して解説します。

「実家の片付け」に見えて、実は「生前整理」— 遺品整理との最大の違い

親が施設に入居するタイミングで進める実家の片付けは、作業の見た目こそ遺品整理と似ていますが、性質はまったく異なります。遺品整理は、亡くなった方の持ち物を遺族が整理・処分する作業です。これに対して親が施設に入る場合は、親は存命であり、家の中の物は今も親自身の所有物のままです。この違いから、この片付けは「生前整理」の領域に位置づけられます。生前整理そのものの考え方は「生前整理とは?」で、状況ごとの違いは「実家の片付けはどう進める?」でも整理していますので、あわせてご確認ください。

この違いが実務面で意味するのは、子ども世代の判断だけで家財を処分しないということです。実家を管理したり、片付けの手伝いをしたりしているのが子どもであっても、その中にある物を売る・捨てるといった最終判断は、本人の同意を得てから行うのが基本の考え方です。同意を得ずに進めてしまうと、後になって「勝手に処分された」と本人が感じ、その後の関係や片付けそのものがやりにくくなることもあります。話し合いの切り出し方やコツは「実家の片付けを親と話し合うコツ」で詳しく解説しています。

なお、施設への入居を検討する段階では、認知症などにより本人の判断能力が十分でないケースも少なくありません。認知症などの理由で判断能力が不十分な方は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、施設への入所に関する契約を結んだりすることを自分で行うのが難しい場合があります。こうした方々を保護し、支援するための制度として「成年後見制度」があります(出典: 法務省「成年後見制度・成年後見登記制度」)。実家の片付けや家財の処分が、本人の財産管理に関わる重要な判断にあたると考えられる場合は、この記事の説明だけで判断せず、地域包括支援センターや司法書士・弁護士などの専門家、家庭裁判所の窓口に相談することをおすすめします。

施設入居が決まってから実家をどうするか考える基本の流れ

実際にどう進めればよいか、全体の流れを図にすると次のようになります。

親の施設入居が決まった 入居先の受け入れ条件を確認する (持ち込める荷物の量・家具付きかなど) 本人と一緒に「持っていくもの」を決める (本人の同意を得ながら進める) 実家に残すもの 使うか迷うものは いったん保留でもよい 手放すもの 本人の同意を得て 売却・処分ルートへ 家財の片付けが一段落 家(実家という不動産)の今後を検討する 維持管理・賃貸・売却などの選択肢 判断に迷ったら、地域包括支援センターや 不動産の専門家などに相談する

図: 実家じまい案内所作成

大切なのは、片付けを「モノを減らす作業」としてだけ捉えるのではなく、本人の新しい生活(施設での暮らし)を整えることを起点に考えることです。次の項目から、それぞれのステップを詳しく見ていきます。

進め方のステップ

ステップ1: 入居先の受け入れ条件を確認する

まず確認したいのは、入居する施設がどこまでの荷物を受け入れられるかです。個室の広さ、家具付きかどうか、電化製品の持ち込み可否、収納スペースの大きさなどは施設によって異なります。施設側に事前に確認しておくと、「実家から何を持っていくか」を具体的にイメージしやすくなります。

ステップ2: 本人と一緒に「持っていくもの」を決める

持ち物の量が限られる分、何を持っていくかは本人にとって大切な選択になります。衣類や普段使いの品など実用面の物に加えて、本人が安心して過ごせるよう、思い出の品を少量選んでもらうことも検討してみてください。決めるプロセスそのものに本人が関われるよう、時間に余裕を持って進めることが望ましいです。

ステップ3: 実家に残すもの・手放すものを仕分ける

持っていくものが決まったら、残りの家財を「実家にひとまず残すもの」と「手放すもの」に分けていきます。判断に迷うものは無理にその場で結論を出さず、保留にしておく方法もあります。仕分けの基本的な考え方は「実家の片付けはどう進める?」でも解説しています。

ステップ4: 実家(建物)の今後を検討し始める

家財の片付けが一段落したら、実家という建物自体を今後どうするかの検討を始めます。すぐに結論を出す必要はありませんが、早めに選択肢を把握しておくと、後の判断がスムーズになります。詳しくは後述します。

ステップ5: 定期的に様子を見に行く体制を整える

入居後も、実家が誰も住まない状態になることが想定されます。片付けが完全に終わっていなくても、定期的に様子を見に行く、あるいは管理を依頼する体制を早めに考えておくと安心です。

残すもの・施設に持っていくものの考え方

施設に持っていくものは、量が限られる分、優先順位をつけて選ぶ必要があります。一般的には、次のような視点で考えると整理しやすくなります。

  • 日常的に使う実用品: 衣類、日用品、常用している医薬品関連の品など、施設での生活にすぐ必要になるもの
  • 本人の気持ちの支えになるもの: 写真、手紙、使い慣れた小物など、量は少なくても本人が安心できるもの
  • 施設のルールで確認が必要なもの: 家電や家具など、施設によって持ち込みの可否や台数制限があるもの

実家に残すもののうち、判断に迷う品(貴金属・骨董品・着物など)については、買取に出せる可能性がある品目の傾向を「実家の片付けで売れるものは?」で整理しています。ただし、繰り返しになりますが、これらを売却するかどうかも本人の同意を得てから判断することが基本です。仏壇・位牌など、供養に関わる品の扱いに悩む場合は「仏壇・位牌・思い出の品の扱い方」もあわせてご覧ください。

思い出の品と向き合う中で、寂しさや迷いを感じることも自然なことです。気持ちの面での工夫は「実家じまいが寂しい・罪悪感がある」でも取り上げていますので、無理せず自分のペースで進めてください。

家をどうするか — 片付け後に考えること

家財の片付けが進んでも、実家という不動産そのものは残ります。誰も住まなくなった実家は、事実上、空き家に近い状態になります。空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)第5条は、空き家等の所有者等に対して、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切な管理に努める責務を定めています(出典: 国土交通省「不動産業者による空き家管理受託のガイドライン」、令和6年6月策定)。適切な管理が行われない状態が続くと、自治体から指導・勧告の対象になる場合があることも、あわせて押さえておきたいポイントです。

実家(建物)の今後の選択肢としては、大きく「維持管理を続ける」「賃貸に出す」「売却する」「解体して手放す」といった方向性があります。それぞれの特徴や、判断の前提として必要になる相続登記(名義変更)などの手続きについては「実家(不動産)をどうするか」で詳しく解説しています。片付け後に何もしないまま放置してしまうと、後から管理の負担が大きくなることもあるため、片付けと並行して早めに方針の検討を始めることをおすすめします。自分たちでの管理が難しい場合の考え方は「空き家管理とは?」もあわせてご参照ください。

業者に頼む場合の視点

実家までの距離が遠い、荷物の量が多い、仕事や介護と並行して進める時間が取りにくいといった場合は、片付けを業者に依頼する方法もあります。この記事で扱っているケースは親が存命の生前整理にあたるため、業者を探す際は、遺品整理業者ではなく「生前整理業者」を軸に検討するとよいでしょう。生前整理業者は、本人の意思を確認しながら進めてくれる点が特徴です。業者選びのポイントや確認しておきたい許可については「生前整理の業者はどう選ぶ?」で詳しく解説しています。

依頼する際は、複数社から見積もりを取り、内訳が明示されているかを確認することに加えて、本人のペースを尊重しながら作業を進めてくれるかどうかも大切な判断材料になります。地域の相談先は「地域から相談先を探す」からご確認いただけます。どのサービスに当てはまるか判断に迷う場合は、「かんたん診断」で状況を選ぶと、目安の行き先を確認できます。

まとめ

親が施設に入居する場合の実家の片付けは、親が存命であるため遺品整理ではなく生前整理にあたり、家財は親の所有物である、という点が最大の違いです。まずは入居先の受け入れ条件を確認し、本人と一緒に「持っていくもの」を決め、残りの家財を本人の同意を得ながら仕分けていくのが基本の進め方になります。認知症などで本人の判断が難しい場合は、成年後見制度という選択肢もあるため、地域包括支援センターや専門家に相談してみてください。

  • 遺品整理ではなく生前整理。家財の処分は本人の同意が前提
  • 進め方は「持っていくもの → 実家に残すもの → 手放すもの」の順で仕分ける
  • 判断能力が不十分な場合は成年後見制度という選択肢がある(法務省)
  • 片付け後は、家(不動産)の維持管理・賃貸・売却などの方針もあわせて検討する
  • 荷物が多い・遠方などの場合は、生前整理業者への依頼や地域の相談先の活用も選択肢

家財の片付けと家の今後、どちらも一度にすべてを決める必要はありません。本人の気持ちとペースを大切にしながら、少しずつ進めていくことが、無理のない実家じまいにつながります。

よくある質問

親が施設に入ることが決まったら、実家の片付けはすぐに全部終わらせるべきですか?

急いで全部を終わらせる必要はありません。入居先で必要な持ち物をそろえることを最優先にし、実家に残すもの・手放すものの判断は、本人の体調や気持ちに合わせて少しずつ進めても構いません。入居直後は環境の変化そのものが本人にとって負担になりやすいため、実家の片付けは後回しにしても大きな問題にはならないケースが多いです。

実家にある親の物を、子どもの判断で処分してもいいですか?

親が存命の場合、家の中にある物は親の所有物です。子どもが実家の管理や片付けの手伝いをしているとしても、本人の同意を得ずに処分することは避けるべきです。まずは「なぜ片付けを考えているのか」を丁寧に伝え、本人の意向を確認しながら一緒に仕分けていく進め方をおすすめします。話し合いの進め方は「実家の片付けを親と話し合うコツ」で詳しく解説しています。

認知症などで本人の判断が難しい場合はどうすればいいですか?

認知症などの理由で判断能力が不十分な方は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、施設への入所に関する契約を結んだりすることを自分で行うのが難しい場合があります。こうした方々を保護し、支援するための制度として成年後見制度があります(出典: 法務省「成年後見制度・成年後見登記制度」)。本人がどの程度この制度の対象になるか、実家の片付けや財産管理をどう進めるべきかは、個別の事情によって判断が分かれるため、地域包括支援センターや司法書士・弁護士などの専門家、家庭裁判所へ相談することをおすすめします。

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