実家じまいコラム
空き家問題とは?全国の空き家数・原因・放置のリスク・対策をわかりやすく解説
この記事は、官公庁・関連団体の公式情報などの一次情報と出典を確認したうえで、実家じまい案内所編集部が作成・更新しています。編集方針については運営ポリシーをご覧ください。
この記事のポイント
- 総務省の調査によると、2023年10月1日時点の全国の空き家数は900万2千戸、空き家率は13.8%で、いずれも過去最多・過去最高となりました(出典: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」)
- 国土交通省の調査では、所有する空き家の取得経緯は「相続」が57.9%と最も多く、空き家になった理由も「死亡」が43.9%を占めています(出典: 国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」)
- 空き家を放置すると、倒壊・害虫の発生・悪臭・景観の悪化・不法侵入による治安の悪化などのリスクがあり、「特定空家等」に指定されると固定資産税の住宅用地特例が受けられなくなる場合があります(出典: 政府広報オンライン、国土交通省)
- 令和5年の法改正で、特定空家等になる前段階の「管理不全空家等」という区分が新設され、指導・勧告の対象が広がりました(出典: 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」)
- 2024年4月から相続登記が義務化され、正当な理由なく相続を知った日から3年以内に登記しないと10万円以下の過料の対象になります(出典: 法務省)
※画像はイメージです(写真素材: Pexels)
「実家を相続したけれど、誰も住んでいない」「このまま空き家にしておいて大丈夫なのだろうか」——実家じまいを考え始めた人の多くが、こうした不安を抱えています。ニュースなどで「空き家問題」という言葉を目にする機会も増えましたが、具体的に何が問題なのか、自分の実家にどう関わってくるのかは、意外とわかりにくいものです。
この記事では、総務省・国土交通省・法務省が公表している統計や資料にもとづいて、空き家問題の現状(数字)・増え続ける原因・放置した場合のリスク・国と個人でできる対策を整理します。個別の税務・法務上の判断については断定を避けていますので、実際の手続きは税務署・法務局・自治体窓口や税理士・弁護士など専門家にご確認ください。
空き家問題とは
空き家問題とは、人が住んでいない・使われていない住宅(空き家)が全国的に増え続け、適切に管理されないまま放置されることで、防災・防犯・衛生・景観など地域社会にさまざまな影響を及ぼしている社会問題の総称です。
空き家そのものは昔から存在しますが、近年問題視されているのは、(1)空き家の数・割合が増加を続けていること、(2)相続をきっかけに発生する空き家が多く、所有者が遠方に住んでいて管理が行き届きにくいこと、(3)管理されない空き家が防災・防犯上のリスクや近隣トラブルの原因になり得ることです。次の章から、それぞれを公的な統計・資料にもとづいて見ていきます。
日本の空き家はどのくらいある? — 総務省の統計で見る現状
総務省統計局が5年ごとに実施している「住宅・土地統計調査」の最新版(令和5年調査)によると、2023年10月1日時点の全国の総住宅数は6,504万7千戸、そのうち空き家は900万2千戸で、総住宅数に占める空き家率は13.8%でした。空き家数・空き家率とも、前回の2018年調査(空き家数848万9千戸・空き家率13.6%)から増加し、いずれも過去最多・過去最高を更新しています(出典: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」)。
空き家900万2千戸の内訳は、賃貸用の空き家が443万6千戸、売却用の空き家が32万6千戸、別荘などの二次的住宅が38万4千戸で、これらを除いた「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」(転勤・入院などのため長期不在の住宅や、取り壊すことになっている住宅など。いわゆる「その他の空き家」)が385万6千戸(総住宅数の5.9%)を占めます(同出典)。実家じまいで問題になりやすいのは、この区分に当てはまるケースです。
出典: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」(2023年10月1日時点、2018年調査との比較)
なぜ空き家は増えているのか — 相続をきっかけに発生するケースが多い
空き家が増える背景には、少子高齢化や人口減少など複数の要因が指摘されていますが、個々の空き家がどのように発生しているかは、国土交通省が実施している「空き家所有者実態調査」から見えてきます。
令和6年調査(令和7年8月公表、有効回答6,294件)によると、所有する空き家の取得経緯は「相続」が57.9%と最も多く、次いで「新築・建て替え」17.1%、「既存住宅を購入」14.2%などとなっています。また、その住宅が空き家になった(住まなくなった)理由は、「死亡」が43.9%で最多、次いで「別の住宅に転居」39.0%、「老人ホームなどの施設に入居」10.0%です(出典: 国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」)。つまり、空き家の多くは「親が亡くなった、あるいは施設に入所したことで実家が空き家になり、相続した子どもがそのまま所有している」というパターンで発生していることになります。
では、なぜ相続後もそのまま空き家として所有し続けるのでしょうか。同調査では、今後も空き家として所有しておく意向の世帯が挙げた「空き家として所有しておく理由」(複数回答)として、「物置として必要」55.8%、「解体費用をかけたくない」47.3%、「住宅の古さ」37.0%、「さら地にしても使い道がない」34.8%、「取り壊すと固定資産税が高くなる」28.2%が上位に挙がっています(同出典)。「わかっていても手が付けられない」という状況が、空き家の長期化につながっていることがうかがえます。
出典: 国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月公表、複数回答)
空き家を放置するとどうなる? 主なリスク
空き家は、住んでいなくても所有者に管理の責任があります。政府広報オンラインや国土交通省の資料では、管理されない空き家について次のようなリスクが指摘されています。
- 安全上のリスク: 老朽化による建物の倒壊、屋根材・外壁材の落下・飛散など
- 防犯・治安上のリスク: 不法侵入や不審者の滞在につながりやすい
- 衛生・景観上のリスク: ねずみ・害虫の大量発生、ごみの散乱、悪臭、景観の悪化
- 近隣トラブルのリスク: 倒壊や部材の落下などで近隣に損害が生じた場合、所有者が賠償責任を問われる可能性がある
- 行政上のリスク: 状態が悪化すると市区町村から「特定空家等」に指定され、指導・勧告・命令などの措置や、固定資産税の住宅用地特例の解除の対象になる場合がある
(出典: 政府広報オンライン「空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!」、国土交通省)
このうち行政上のリスクは、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)にもとづく仕組みです。同法では、放置すれば倒壊等のおそれがある空き家を市区町村が「特定空家等」に指定し、助言・指導、勧告、命令などの措置を段階的に取れる仕組みが設けられています。指定の基準や措置の流れは、当サイトの「特定空家等とは?4つの状態と措置の流れを解説」で詳しく解説しています。
また、勧告を受けた特定空家等の敷地は、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れる場合があります。空き家と固定資産税の関係については「実家を空き家のまま放置すると固定資産税はどうなる?」もあわせてご覧ください。
令和5年の法改正 — 「管理不全空家等」が新設された
空家等対策の推進に関する特別措置法は、令和5年に改正され(令和5年法律第50号)、令和5年12月13日に施行されました。国土交通省によると、この改正の主なポイントは次のとおりです。
- 管理不全空家等の新設: 放置すれば将来「特定空家等」になるおそれがある空き家を「管理不全空家等」として市区町村が指導・勧告できるようになりました。特定空家等になってから対応するのではなく、その手前の段階で管理を促す狙いがあります。勧告を受けた管理不全空家等の敷地も、固定資産税の住宅用地特例が解除されます。
- 空家等活用促進区域の創設: 市区町村が区域を定め、空き家の活用を促進するために用途規制を合理化できる制度が設けられました。
- 空家等管理活用支援法人の指定制度: NPO法人や不動産関連の法人などを市区町村が「空家等管理活用支援法人」として指定し、所有者への相談対応や活用のマッチングなどを担わせる制度が始まりました。
(出典: 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について」)
「特定空家等になってから」ではなく「特定空家等になる前」から行政の関与が及ぶようになった点が、今回の改正の大きな変化です。実家を空き家のまま放置している期間が長いほど、こうした行政の関与を受けるリスクが高まると考えておく必要があります。
空き家問題への対策 — 個人でできること
実家が空き家になった、あるいはなりそうな場合、進め方は大きく「管理する」「活用する」「処分する」の3つに分かれます。それぞれの詳しい進め方は、当サイトの以下の記事で解説しています。
- 管理する: 定期的な見回りや通風・通水など、放置による劣化・トラブルを防ぐための維持管理の方法は「空き家の管理 — 放置せずに維持するためにすべきこと」
- 活用する: 賃貸に出す、リノベーションする、地域の活動拠点にするなど、売却・解体以外の選択肢は「空き家の活用方法 — 賃貸・売却以外の選択肢」
- 処分する: 売却・解体・譲渡といった手放し方の選択肢と進め方の全体像は「空き家の処分方法まとめ — 売却・解体・活用・譲渡の選択肢と進め方」
- 売却時の税制上の特例: 相続した空き家を売却する際、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる「空き家特例」については「「空き家特例」とは?相続した実家を売るときの3,000万円控除の要件」
どの方向に進むにしても、出発点になるのが相続登記です。2024年4月1日から相続登記の申請が義務化され、法務省によると、相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記の申請をしなければならず、正当な理由なくこれを怠ると10万円以下の過料の対象になります(施行日より前に発生した相続も対象です)。実家の名義が祖父母や先代のままになっているケースでは、まずこの登記の状況を確認することが最初の一歩になります(出典: 法務省「相続登記の申請義務化について」)。
まとめ
総務省の統計によると、2023年時点の全国の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%で、いずれも過去最多・過去最高を更新しました。国土交通省の調査では、空き家の多くは相続をきっかけに発生し、「物置として必要」「解体費用をかけたくない」といった理由でそのまま所有され続けている実態が明らかになっています。放置すれば倒壊や治安悪化などのリスクがあるだけでなく、令和5年の法改正で「管理不全空家等」の指導・勧告の対象も広がりました。
実家が空き家になりそう、またはすでになっている場合は、まず相続登記の状況を確認したうえで、管理・活用・処分のどの方向で進めるかを検討することになります。この記事で紹介した内容は公的な統計・資料にもとづく一般的な情報の整理です。個別の税務・法務上の判断や、お住まいの自治体での取り扱いについては、税務署・法務局・自治体の窓口や、税理士・弁護士などの専門家に必ずご確認ください。
よくある質問
空き家問題とはどんな問題ですか?
誰も住んでいない・使われていない住宅(空き家)が全国的に増え続け、放置されることで防災・防犯・衛生・景観など地域社会にさまざまな影響を及ぼしている社会問題の総称です。総務省の調査では、2023年時点で全国の空き家は900万戸を超え、空き家率は13.8%と過去最高を更新しました。空き家の多くは相続をきっかけに発生しており、実家を相続した人にとっても身近な問題です。
日本の空き家は現在どのくらいありますか?
総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年10月1日時点の全国の空き家数は900万2千戸、総住宅数に占める空き家率は13.8%です。いずれも2018年の前回調査(空き家数848万9千戸・空き家率13.6%)から増加し、過去最多・過去最高となりました。
なぜ空き家は増え続けているのですか?
国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」によると、所有する空き家の取得経緯は「相続」が57.9%と最も多く、住まなくなった理由も「死亡」が43.9%を占めています。相続をきっかけに空き家になったあと、「物置として必要」「解体費用をかけたくない」「住宅の古さ」といった理由(複数回答)でそのまま所有し続けているケースが多いことが背景にあります。
空き家を放置するとどんなリスクがありますか?
政府広報オンラインなどによると、空き家を管理せずに放置すると、建物の倒壊・部材の落下などの安全上のリスク、害虫の発生や悪臭、景観の悪化、不法侵入による治安の悪化、近隣への損害が生じた場合の賠償責任といったリスクが指摘されています。また行政上のリスクとして、市区町村から「特定空家等」に指定されると、固定資産税の住宅用地特例が受けられなくなる場合があります。
「特定空家等」「管理不全空家等」に指定されるとどうなりますか?
空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづき、放置により倒壊等のおそれがある空き家は「特定空家等」に、そのおそれがある段階の空き家は令和5年の法改正で新設された「管理不全空家等」に、それぞれ市区町村から指導・勧告を受けることがあります。国土交通省によると、勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が解除される場合があり、税額が増える可能性があります。具体的な要件・影響は自治体や個別の状況によって異なるため、詳しくは特定空家等の解説記事や、所在地の市区町村窓口でご確認ください。
実家が空き家になりそう、またはすでになっている場合、まず何をすればいいですか?
2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に正当な理由なく登記をしないと10万円以下の過料の対象になります(法務省)。まずは相続登記の状況を確認したうえで、実家を「管理する」「活用する」「処分(売却・解体)する」のどの方向で進めるかを検討することになります。それぞれの進め方や使える制度は、当サイトの各記事(空き家の管理、空き家の活用方法、空き家の処分方法まとめ、空き家特例など)で解説していますので、あわせてご確認ください。最終的な判断は、税務署・法務局・自治体の窓口や、税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。
あわせて読みたい