実家じまいコラム
特定空家等とは?4つの状態と措置の流れ、管理不全空家等との違いを解説
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この記事のポイント
- 特定空家等は、空家法第2条第2項で「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」など4つの状態にあると認められる空家等と定義されています
- 管理不全空家等は、法第13条第1項で「適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態」と定義され、特定空家等の一歩手前の段階にあたります
- 特定空家等への措置は、助言又は指導(法第22条第1項)→勧告(同条第2項)→命令(同条第3項)→代執行(同条第9項)の順に段階を踏みます
- 国土交通省・総務省の調査(令和7年3月31日時点)では、特定空家等に対する措置は累計48,362件(923市区町村)で、内訳は助言・指導42,768件、勧告4,153件、命令551件、行政代執行286件、略式代執行592件、緊急代執行12件です
- 勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から除外され、命令に違反した場合は50万円以下の過料の対象とされています
※画像はイメージです(写真素材: Pexels)
相続した実家を空き家のままにしていると、「特定空家等に指定されると税金が上がる」「行政に取り壊される」といった話を耳にすることがあります。ただ、どのような状態が対象になり、どの順番で何が起きるのかは意外と知られていません。この記事では、特定空家等の定義と措置の流れを、国の指針と全国調査の実数にもとづいて整理します。
特定空家等とは — 法律が定める4つの状態
特定空家等は、空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空家法」)第2条第2項において、次の状態にあると認められる空家等と定義されています。
- (イ) そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- (ロ) そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- (ハ) 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- (ニ) その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
このうち(イ)(ロ)については、生命や身体への被害という重大な悪影響の可能性があることから、現に著しく保安上危険または著しく衛生上有害な状態の空家等だけでなく、将来そうした状態になることが予見される空家等も含めて対象と判断できるものとされています(出典: 国土交通省・総務省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」)。
つまり「今まさに倒れそう」でなくても、放置すればそうなると見込まれる段階で対象になり得るということです。
管理不全空家等との違い
2023年(令和5年)の法改正で、特定空家等の一歩手前の段階として「管理不全空家等」が設けられました。前掲ガイドラインでは、管理不全空家等は法第13条第1項において「適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にあると認められる空家等」と定義されている、と説明されています。
なお、同ガイドラインは「空家等の所有者等が管理指針に即した管理を行っていないために、直ちに管理不全空家等に該当するわけではない」とも述べています。管理不全空家等にあたるかどうかは、管理の状況だけでなく、その空家等の状態や周辺の生活環境に及ぼし得る影響の程度等を踏まえて判断されます。日常の管理として何をすればよいかは「空き家管理とは?何をすればいい?」で解説しています。
措置は段階を踏んで進む
特定空家等・管理不全空家等に対する措置は、いきなり取り壊しに進むものではなく、段階が定められています。
管理不全空家等については、市町村長が管理指針に即して必要な措置をとるよう指導することができ(法第13条第1項)、指導しても状態が改善されず特定空家等に該当するおそれが大きいと認めるときに勧告ができる(同条第2項)とされています。
特定空家等については、助言又は指導(法第22条第1項)、勧告(同条第2項)、命令(同条第3項から第8項)、代執行(同条第9項)という順序です。命令にあたっては、事前の通知(同条第4項)、所有者等による公開による意見聴取の請求(同条第5項)、公開による意見の聴取(同条第6項から第8項)といった手続も定められています。
前掲ガイドラインによれば、命令に違反した者は50万円以下の過料に処することとなり(法第30条第1項)、市町村長の報告徴収を拒否しまたは虚偽の報告をした者は20万円以下の過料に処することとなります(同条第2項)。
勧告を受けると固定資産税の特例が外れる
住宅の敷地には、地方税法第349条の3の2および第702条の3にもとづき、固定資産税等の課税標準を軽減する住宅用地特例が適用されます。前掲ガイドラインでは、勧告の対象となった特定空家等・管理不全空家等に係る敷地については、この住宅用地特例の対象から除外されると説明されています。
「空き家は固定資産税が6倍になる」と言われるのはこの仕組みによるもので、正確な内容と計算の考え方は「実家を空き家のまま放置すると固定資産税はどうなる?」で詳しく解説しています。
全国で実際にどれだけ措置が行われているか
国土交通省・総務省が全国1,741市区町村を対象に行っている調査(令和7年3月31日時点)によると、空家法の施行(平成27年度)から令和6年度までに、特定空家等に対する措置は累計48,362件(923市区町村)行われています。
(出典: 国土交通省・総務省「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等について」(令和7年3月31日時点))
件数の大半は助言・指導であり、行政代執行は286件です。段階を踏むという制度の設計が、実績にも表れています。
一方で、令和5年12月に始まった管理不全空家等に対する措置は、指導が累計3,211件(185市区町村)、勧告が378件(40市区町村)と立ち上がっています。うち令和6年度だけで指導2,545件・勧告378件が行われており、特定空家等になる前の段階で行政が関与する動きが広がっていることが分かります。
同調査では、空家法の措置によって除却や修繕等がなされた特定空家等は累計27,244件、管理不全空家等は3,757件と報告されています(除却や修繕等には、除却、修繕、繁茂した樹木の伐採、改修による利活用、その他適切な管理が含まれます)。また、空家等対策計画を策定済みの市区町村は1,541(88%)に達しています。
「うちの実家は大丈夫か」と思ったら
特定空家等に該当するかどうかの判断は市町村が行うもので、所有者が自分で確定できるものではありません。ただ、屋根や外壁の破損、建物の傾き、庭木や雑草の越境、動物の住み着きなど、周囲に影響が及び始めているサインがあるなら、早い段階で手を打つほうが選択肢は多く残ります。
- 管理を続ける: 点検・通気・庭木の手入れなど。やるべきことは「空き家管理とは?何をすればいい?」で整理しています
- 片付けて処分・活用の判断をする: 「空き家の処分方法まとめ」「空き家の活用方法まとめ」
- 解体する: 費用の内訳と自治体の補助制度は「空き家の解体はどう進める?」
なお、前掲の施行状況調査では、空き家等の譲渡所得3,000万円特別控除に係る確認書の交付が令和6年度に16,755件、平成28年度からの累計で93,897件と報告されています。売却を選ぶ場合に使える制度もあるため、管理か処分かを決める前に一度整理しておくとよいでしょう。実家をどうするかの選択肢は「実家(不動産)をどうするか」にまとめています。
片付けから始めたい場合の費用の目安は「費用相場」、地域の相談先は「地域から相談先を探す」からご確認いただけます。制度の適用や税務の取り扱いについては、自治体の担当課や税務の専門家にご相談ください。
まとめ
特定空家等は空家法第2条第2項が定める4つの状態にあると認められる空き家で、その一歩手前が管理不全空家等(法第13条第1項)です。措置は助言又は指導・勧告・命令・代執行の順に段階を踏み、全国の累計48,362件のうち大半は助言・指導です。ただし勧告を受けた時点で固定資産税の住宅用地特例が外れ、命令に違反すれば50万円以下の過料の対象になります。実家が空き家のままになっている場合は、状態が進む前に管理・活用・処分のいずれかへ舵を切っておくことが、結果的にいちばん負担の少ない選択になりやすいといえます。
よくある質問
特定空家等とはどのような空き家ですか?
空家法第2条第2項で、(1)そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、(2)そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態、(3)適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、(4)その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態、のいずれかにあると認められる空家等と定義されています。
管理不全空家等と特定空家等は何が違いますか?
管理不全空家等は法第13条第1項で「適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態」と定義されており、特定空家等の一歩手前の段階です。措置も管理不全空家等は指導・勧告の2段階、特定空家等は助言又は指導・勧告・命令・代執行の段階に分かれています。
特定空家等に認定されると、すぐに取り壊されるのですか?
いきなり取り壊されるわけではありません。ガイドラインでは、助言又は指導(法第22条第1項)、勧告(同条第2項)、命令(同条第3項から第8項)を経て、命令に従わない場合に代執行(同条第9項)という段階が定められています。国土交通省・総務省の調査(令和7年3月31日時点)でも、累計の措置48,362件のうち助言・指導が42,768件を占め、行政代執行は286件です。
勧告を受けると固定資産税はどうなりますか?
勧告の対象となった特定空家等・管理不全空家等に係る敷地は、地方税法第349条の3の2・第702条の3による住宅用地特例の対象から除外されます。仕組みの詳細は「実家を空き家のまま放置すると固定資産税はどうなる?」で解説しています。
命令に従わないとどうなりますか?
ガイドラインでは、市町村長の命令に違反した者は50万円以下の過料に処することとなる(法第30条第1項)と説明されています。また、市町村長の報告徴収を拒否し又は虚偽の報告をした者は20万円以下の過料(法第30条第2項)とされています。
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